Vol.17 租税特別措置法という法律
タイトルに挙げた法律、ご存じでしょうか?
字の通り「租税」について特別に定められた措置についての法律なんですが、所得税法や法人税法、相続税法など、様々な租税について、これらの個別の法律と切り離して、租税特別措置法として、まとめて規定しています。
なぜ所得税法や法人税法、相続税法などの中で規定しないか。それは、租税特別措置法の性格が、「政策目的」に軸足を置いているためなんです。
税制は、本来、
1)経済活動に対して中立でなくてはならない
2)納税者にたいして公平に課税されなくてはならない
3)複雑怪奇なものではなく、平易・簡素なものであるべき
といった基本スタンスに軸足を置いています。
租税特別措置法は、極端な話ですが、これら逆行する性格があります。
景気が悪いときは、景気を浮上させるための政策を設け、景気に過熱感が出てくると、これを抑えるための政策を設け、雇用を増やす必要があるときは、そのような政策を設け、特定の設備投資を促す必要があるときは、設備投資を促す政策を設け・・・といった具合です。
で、基本的には、「いつから」「いつまで」という期限を切って規定されます。
ただ、いったん規定されたら、期限が来ると、延長、延長・・・また延長・・・といった具合に、継続されているものが沢山あります。
現在、政府税制調査会の法人税DG(ディスカッショングループ)では色々なことが議論されていて、法人税率の引き下げに合わせて、様々な手当てが検討されていることは、以前にも書きましたよね。
そのうちの一つで、「期限の定めのある政策税制は、原則、期限到来時に廃止する。」などとしています。
では、現在どのような措置が規定されているかといいますと・・・凄く沢山あります。
たとえば、雇用を増やすための「雇用促進税制」、雇用された人の所得を増やすための「所得拡大税制」、中小企業の設備投資を促進させるための「中小企業投資促進税制」、環境対策のためエコエネルギーを促進させるための「環境関連投資促進税制」などなど。
仮に、延長されないとすると、「今だけおいしい」税制といえるわけです。
さて、どうなるか。答えは年末の税制改正大綱へ~!