Vol.63 今年のことは今年のうちに
早くも、11月も5日が経過、このままでは、あっという間に今年も終わってしまいそうですが。
政府税制調査会では、年末の税制改正大綱の発表に向けて、議論が活発に行われています。
法人税率の引き下げ議論の行方が注目されますが、その財源の一つに、租税特別措置法のゼロベースでの見直しがありますね。
その提言の一つとして「期限の定めのある政策税制は、原則、期限到来時に廃止する」というものがあります。
これは、「法人課税ディスカッショングループ」としての議論ですから、他の税目には関係ないともいえるのですが、全く影響しないかと言えば疑問でして・・・。
特に、租税特別措置法のうち、所得税に関係するものは、法人税に関係するものと同内容のものが沢山あります。
Vol.17でも触れましたが、試験研究税制、雇用促進税制、所得拡大税制、中小企業投資促進税制などなど。
これらは、法人税でも所得税でも同様の減税内容です。
つまり、法人税だけ期限到来で廃止して、所得税は延長されることになるとは、ちょっと考えにくいと思うんです。
そして、事業用の資産を売却した場合の買換え特例についても、今年で期限到来となるものがあります。
「国内にある土地等、建物又は構築物で、譲渡日の属する年の1月1日で所有期間が10年を超えるもの」を売却して、「国内にある土地等、建物、構築物又は機械及び装置で一定のもの」を買って事業に使うなら、最大で売却益の80%の課税を繰り延べますよ~というもの。
ま、「繰り延べ」ですから、買換えた資産を売却するなどすれば、課税されてチャラにはなるのですが。
それでも、「この度の売却時に課税されないのは嬉しい!」と、この制度を利用されるかたは多いと思います。
買換え特例については、他にも色んなケースを想定して、課税の繰り延べ措置が設けられてはいるのですが、一番使い勝手が良いのが、これです。
何せ、その年1月1日で10年以上持っていればOKですから、たとえば、取得して10年を経過した賃貸不動産を売却し、新たな賃貸不動産を取得した場合でも使える可能性があるわけです。
今年のうちにやってしまったほうが良いことは沢山あると思いますが、資産の買換えを検討されているかたは、実行は年内のほうが良いかもしれませんね。