Vol.8 贈与税がかかる?
全米オープンで準優勝に輝いた錦織選手、素晴らしい活躍でしたね!
優勝できなかったことへの無念さはあるでしょうが、更なる高みを目指して、今後ますます成長されることでしょうね!!
さて、そんな錦織選手に、ユニクロを手掛けるファーストリテイリングから特別ボーナスとして1億円が支給されると話題ですね。
そのうち、5,000万円は柳井会長個人からということで、これについて贈与税が課税されるということがニュースなっています。ちなみに、会社から支払われる5,000万円については所得税が課税されます。
通常通りに法令を適用すれば、その通りになるのでしょうね。何らかの理由をつけて贈与税の課税を免れるのは難しいように思います。
5,000万円について贈与税が課税されるとすれば、贈与税の税額は2,220万円になります。ないとは思いますが、万が一来年に支払いがずれ込むと、2,289.5万円になります。来年から贈与税が改正され、一定の親族間以外の贈与税については、最高税率が55%に引上げられるためなんです(ちなみに、現在は最高50%)。
ん?50%課税されるなら、贈与税は2,500万円になるのでは?と思われるかもしれません。
確かに、「最高」50%なのですが、すべてに50%ではないのですね。
まず、一般的によく行われている贈与については、年間110万円という基礎控除があり、そこまでは贈与税はかかりません。5,000万円もらったとすると、110万円を引いた4,890万円だけが課税される対象になるということです。
また、贈与税は、相続税や所得税と同様に「累進税率」という仕組みになっています。金額が少ない部分については低い税率、金額が多くなるにしたがって高い税率を適用するとい仕組みです。
この例でいえば、4,890万円のうち、200万円までは10%、200万円超~300万円は15%、300万円超~400万円は20%、400万円超~600万円は30%、600万円超~1,000万円は40%、そして、1,000万円超が50%が適用されます。これを計算してあげると、2,220万円になるというわけです。
気になるのは、錦織選手は日本人、つまり日本国籍ですが、住所はアメリカにあるとの点です。
日本の税金は高いから、外国に移り住んであらゆる税金を免れようという話を聞かれたかた、いませんか?
錦織選手はそれが目的ではないでしょうけれど、結果的にアメリカに住んでいる。では、日本の贈与税は課税されないのでは?との考えがよぎるかたもいるかもしれませんよね!?
結論は、贈与する柳井会長が日本に住んでいれば、錦織選手が世界のどこに移り住んでも日本の贈与税から免れることはできないんです。
それならと、柳井会長が贈与する際にアメリカに住所を移すとどうなるか・・・それでも、やっぱり贈与税は課税されるんですね。
贈与する柳井会長が、贈与の日前5年以内に日本に住所を有していたことがあれば、錦織選手が柳井会長からもらう財産については、その財産が世界のどこにあったとしても日本の贈与税がかかります。そのような考えをする人が出てくることを想定して法律が用意されているってことですね。
もし、日本の贈与税を回避しようとすれば、錦織選手が日本国籍を捨ててアメリカ国籍となり、柳井会長もアメリカに住所を移し、アメリカの財産を贈与する必要があります。ま、そんなことするのはあり得ない話でしょうけれど(苦笑
でも、万が一、これが実行されると、当局はまた法の手当てを考えるのでしょうかね~。
あの手この手で税を免れようとする人たちって、いつの時代になっても出てくるものなんでしょうね。
そして、税制も進化(?)していく・・・(続