Vol.216 他益信託も使いよう(続)
名義預金も信託を使えば回避できる。
そのような記事を、前回書きましたね。
で、小休止を挟んじゃいました(^^;
今日から、また復活です(^o^)/

おじいちゃんが、孫名義の預金を作って、せっせと贈与する。
これを信託を使って実行すると・・・ってことです。
幼くして、大金を自由に使える状態ってのが、
その子にとって、本当に良いのかも疑問。
ここらも一気に解決しちゃおうってもの。

やり方はというと、次の通りです。
おじいちゃん(=お金を贈与する人)を委託者、
孫(=お金をもらう人)を受益者とするところまでは、通常の贈与と同じ。
ポイントは、孫がお金を自由に使えないよう、子(=孫の父親)などを受託者とすることです。
預金の管理を子に託し、「孫がお金を使う際には、受託者の許可を要する」などと信託契約書に書いておく。
こうすれば、孫がもらったお金を自由に使ってしまうことも防げるってわけです。
あとは、おじいちゃんが孫名義の預金に、毎年せっせと贈与していく。
おじいちゃんの相続時に、名義預金とされるリスクも回避可能。
他益信託も使いようってことですね~♪
っと、他益信託って何かついては、
前回のブログをみて下さいね~
Vol.215 他益信託も使いよう
贈与税の問題を回避するなら「自益信託」
そのようなことを昨日書きました。

ただ、「他益信託」をお勧めする場面もありますね。
他益信託は、「他人」の「利益」のために「信託」するってこと。
つまり、昨日書いた、
自ら(委託者)が所有する土地(信託財産)を、息子(受託者)に信託し、
賃貸料収入や、売却代金などの利益(受益権)は、孫(受益者)にあげる。そのような信託のこと。

どんなケースで利用できるかと言えば。
「名義預金の回避」ですね。
よくある話として。
とある資産家が、
「このままだと、相続税は凄い金額になるなぁ。
まだ孫は小さいけれど、孫の名義で毎年100万円ずつでも預金をしよう。
孫4人についてすれば、10年で4千万円、20年で8千万円・・・まずまず節税になりそうだなぁ。
・・・ん~、とはいっても、幼くして大金を持たせるのも、よくないだろう。
ここはひとつ、本人には伏せておいた方がいいだろうな。」
そして、行動に着手して数十年後、この資産家に相続が発生。
孫たちは、数年前からこの話は聞いてはいたものの、
どれだけ預金があるか知ったのは相続時。
・・・な~んてお話しです。
孫名義だからと、この預金を相続税の対象から外すとどうなるか。
「確かに、名義はお孫さんだけど、そもそも、贈与の事実ありませんよね?
贈与は、あげる意思表示と、もらう意思表示があって成り立つわけで、本件はこれに該当しない
仮に、上記の意思表示があったと主張しても、お孫さんは、その預金を管理していないし、使用もしていない。
贈与があったとは言えませんよね~。これは、お孫さんの名義をかりただけの『名義預金』で、亡くなられたかたの財産ですね!」
・・・な~んて、税務署のかたから指摘を受ける。
こんなのが「名義預金」と呼ばれるもの。
これを、信託を使えばどうなるか。
・・・そうです、続きは明日へ~(^0^)v
Vol.214 自益信託とは
医師と患者との関係でいえば。
病や怪我を患っている患者が「委託者」
治してほしいと思っている自身の体が「信託財産」
病や怪我を治す、すなわち治療を引受ける医師が「受託者」
治療を受け、それによって元気になるという利益を受ける自身が「受益者」
そして、そのお代として受託者に支払う医療費が「信託報酬」。
信託は、そのようなイメージで整理できますね。

ただ、信託法上、
「信託報酬」は、必須ではありませんが(^^;
もっというと、「信託報酬」を目的として「業」として行うなら、
信託業法を見ておく必要があるので、手広く行うなら、こちらは要チェックですね。
で、先に挙げた例では、「委託者」と「受益者」が同一です。
これを”自(分で利)益(を得る)信託”、「自益信託」といいます。
信託を実行しても、その段階では贈与税などの問題が起こりません。
一方、「委託者」と「受益者」が異なるとなると、税の問題が顔を出します。
税法上、信託財産は、「委託者」の手を離れ、「受益者」に移ったと考えます。
たとえば、自分の持っている「土地」を信託財産として、
自身の子供に「土地の管理を頼まれてくれないか」として信託し、
その土地を貸すなどして得る利益や、売却して得る利益は、孫にあげる。
そのような信託をしたとすると、
信託を実行した時点で、「孫に土地を贈与した」
そう、贈与税が課税されちゃうってリスクが出てくるわけです。
意図したところではない税が課税されちゃうと、たまりませんよね(><)
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このように、信託法上は実行可能でも、税の問題が解決しないと、
利用できないようなことも、しばしば見受けられるところ。
信託でいえば、税負担の問題を回避するなら、
まずは「自益信託」なのでしょうね。
「そんなことないよ、こうすればクリアできるよ」
なんてやり方があれば、是非に教えてほしいです(^0^)/
Vol.213 税の問題が解決するかどうか
信託を実行するには、税法の知識が不可欠。
昨日、そのように書きました。
で、なぜか。
たとえば、ある信託を実行したとして。
それが基で1億円の贈与税が課税されたら。
果たして、みなさんは、それでも実行するでしょうか?
たぶん・・・しませんよね?(いや、するっていうかたには御免なさい)
つまりは、そういうことです。
誤ったやり方で実行してしまうと、
そこには落とし穴が口を開けている。

信託に限らず、何かしら経済的価値の伴うことをすると、
そこには税の問題が、ついて回ることが非常に多い。
尊敬する弁護士のかたは、このようなことを、
「タックスドリブン」(=税金主導)
と呼ばれています。
なるほどです。
では、具体的にどのようなリスクがあるか。
またまた、続きは明日へ~(^0^)/
秘儀、2日跨ぎ~(^^)v
Vol.212 医師と患者の関係は「信託」
昨日寝る前、鼻の奥に違和感があったのですが。
今朝起きてみると、見事に発熱してました・・・。
さすがに38℃超えると、しんどいですね~。
今日は、ほとんど仕事にならず(><)
27日までに某大学の非常勤講師のレジュメを仕上げないといけないのに・・・
気を抜いたわけじゃないのに・・・疲れがたまってたのかしらん、体は正直ですね(^^;
明日は病院に行くべきか、どうしようか。
で、医師と患者の関係。
その本質は「信託」ですね。
患者は、医師を「信じる」しかない。
「先生、何とかして治して下さ~い」と、
治療方法や薬の選択について「託す」わけです。
そう考えれば、信託って、実はすごく身近な存在だと思いませんか?
これを、法律にまで高めたものが「信託法」なわけです。
実行するには、専門知識が必要ですが、
その本質はいたってシンプル。
さて、この「信託」、実行するには税の知識が不可欠です。
なぜかって?それは・・・また明日~(^0^)/
Vol.211 利用するかどうかの判断
自分たちだけでできるのか、
それとも、だれかの手を借りないとできないのか。
何かやろうとしたときに、実行するか否かの大きな判断材料になりますね。
で、教育資金一括贈与の非課税にしても、結婚・子育て資金一括贈与の非課税にしても、
信託銀行などを介してやらないといけない点が、どうも面倒というかたが、少なからずいらっしゃいます。

「な~んだ、そうなの?なんだか面倒くさそうだし、それだったら止めておこうかなぁ。」
これらの利用について相談を受けても、制度の仕組みを説明すると、
止めておくと判断されるかたが結構いらっしゃいます。
とはいえ、世間では、教育資金一括贈与の非課税制度については、
予想以上に利用が進み、人気を博しているのが現状ですね。
では、結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度はどうか。
利用は進むかもしれませんが、
信託の期間中に贈与者が死亡すると、
死亡日の非課税拠出額(上限1,000万円)から、
結婚・子育て資金 としての支払額(結婚資金は上限300万円)を、
控除した残額 (「管理残額」といいます。)を、贈与者から相続等により取得したとされます。
つまり、使わなかった分は、相続税の対象に取り込まれる点で、
教育資金一括贈与の非課税制度とは一線を画しますね。
制度を利用するにしろ、しっかり理解しておかないと、
あとで「え~っ?」て驚くことになっちゃうことも。

ということで、詳細は、次の国税庁HPをご覧くださいね(^o^)/
「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」などについて
Vol.210 調査研究
現在、近畿税理士会の調査研究部というところで、会務にも従事しています。
色々なことを調査研究部の所掌事案として抱えていますが、
その一つで、様々な税制の研究もしています。
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で、給与所得控除について、掘り下げて検討しているのですが。
これまでも、税制調査会をはじめ様々な議論が繰り返されているものの、
これ、なかなか「これだ」という結論を見いだせないでいる制度の一つです。
給与所得控除は、サラリーマンに認められた経費と説明されることが多いです。
しかし、経費と考えるには控除額が大きすぎる。
「そんなに経費なんてかからないでしょ。」
これが政府をはじめとする意見です。

これを利用した節税策として代表的なものが、いわゆる法人成り。
個人事業である程度儲かっているなら、法人にした方が得というもの。
法人を設立して、自分や家族に、法人の儲けから役員報酬として支払う。
役員報酬として支払うことで、法人の儲けは殆ど出ないか、赤字にしてしまう。

すると、法人側ではほとんど税金の負担が生じない。
一方、役員報酬として受け取った個人側をみると、
給与からは給与所得控除という経費が引ける。
個人事業なら引けないはずの金額が、
給与なら控除できてしうってわけ。
その分税負担が軽くなる。

これでいいのかという議論も、根強く残ってます。
就労人口の9割が給与所得者ともいわれる現在、
ここにメスを入れ、抜本的に改革するとすれば、
国民に与える影響は、ものすごいでしょうね。
たぶん、数年のうちに具体的な見直しの動きが出ると思うので、要チェックです!!
Vol.209 税制改正法案の成立
今日のタビスランドの記事です。
△
平成27年度税制改正法が、年度内ギリギリの3月31日に成立した。
午前中に行われた参院財政金融委員会での所得税法等一部改正法案、
同総務委員会での地方税法等の一部改正法案の採決を受け、
夕方から開かれた参院本会議の採決で、
ともに賛成141、反対96の賛成多数で可決・成立した。
施行は原則、平成27年4月1日から。
▽
今日から、結婚・子育て資金一括贈与の非課税制度が始まり、
ふるさと納税の申告不要制度と、限度額2倍への拡大もスタート。
4月1日以降に開始する事業年度からは、法人税率もダウン↘
これらに共通する点は、アッパー層に嬉しい税制ってとこ。

所得税と相続税の最高税率が5%引き上げられ、
相続税は基礎控除も引き下げられましたが、
これは今年の法案ではありませんし。
法人税率の引き下げは、国外競争力を高める目的がありますが、
にしても、赤字法人からすれば、その効果を享受できるかといえば限定的でしょう。
経済活性化を前面に打ち出した税制改正に見えますが、本当に必要なのは、低所得者層の保護でしょう。

この点について、どうやって対応していくのか注目です。
Vol.208 何が本当?
あっという間に株価が1万9千円台を回復し、
景気は浮上しているのかと思いきや。
ん~・・・?
今日のタビスランドの記事です。
△
国税庁が3月26日に公表した「平成25年度分法人企業の実態(会社標本調査)」では、
赤字法人割合が前年度に引き続き高水準となっている一方で、
交際費の支出額が2年連続で増加したことが分かった。
平成25年度分(平成25年4月から26年3月)の法人数259万5903社のうち
連結子会社(1万171社)を除く258万5732社の状況をみると、
31.8%を占める82万3136社が黒字法人、
残りの68.2%の176万2596社が赤字法人となっており、
赤字法人割合は前年度分から2.1ポイント減少し、
6年ぶりに70%を割り込んだものの、
依然高水準であることに変わりはない。
▽
ま、25年分ですから、現状とは乖離しているのでしょうが。
しかし、相変わらず赤字法人の割合が高い。
にもかかわらず、交際費は増えるって。
赤字になっても交際費は使えるのか、
一部の黒字法人がたっぷり使ったのか。
ちょっと、これだけでは分かりませんけれど。
しかし、赤字法人が多いわりに税収は伸びてる。
なんだか理解不能な感じ。
政治も経済も、いったい、何が本当なのだろう??
Vol.207 信託とは
年度跨ぎは2年ぶりだそうで。
今日の日経電子版の記事です。
△
2015年度予算案が3月末までに成立しない見通しとなったことを踏まえ
政府が編成した15年度暫定予算は30日の参院本会議で、
与党や民主党などの賛成多数で可決、成立した。
一般会計の歳出総額は5兆7593億円。
対象期間は4月1日から、15年度予算が自然成立する11日までの11日間になる。
政府与党は15年度予算案を8日ごろに成立させる方針だ。
▽
ねじれでもないのに、なぜ?
と思いきや、政治と金の問題なのですね。
朝日デジタルの記事では次の解説。
△
当初、政府・与党は「当然の目標として年度内成立」(菅義偉官房長官)と強調。
衆院での審議を急いだが、辞任した西川公也・前農林水産相らの献金問題などが発覚し、年度内成立のめどが立たなくなった。
また、自公両党はこの日の会談で、民主党などが提案している政治資金規正法の改正案について、改正を行わない方向で一致。
国から補助金の交付を受けている企業に対し、各省庁から献金の禁止を通知するなど、運用上で課題に対応していく方針も確認した。
▽
選挙があると必ずと言っていいほど発覚しますね。
で、また元の木阿弥に戻り・・・
これを繰り返す。
なんともお粗末な国ですね。
いったい、いつになったらまともになるのやら。
ちなみに、日本国憲法の前文には次のように書かれています。
『そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。』
つまり、私達国民は、政治家のみなさんを信じて、国政を託しているわけですが、
これが、ものの見事に期待を裏切られているといえるわけで・・・。
信託法上の「忠実義務」が課されないのですかねぇ。
さて、政治家のみなさんは、信託の意味をどのように理解されているのでしょうか・・・。
是非、次の本を読んでいただきたいと思う今日この頃・・・


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