Vol.210 調査研究
現在、近畿税理士会の調査研究部というところで、会務にも従事しています。
色々なことを調査研究部の所掌事案として抱えていますが、
その一つで、様々な税制の研究もしています。
で、給与所得控除について、掘り下げて検討しているのですが。
これまでも、税制調査会をはじめ様々な議論が繰り返されているものの、
これ、なかなか「これだ」という結論を見いだせないでいる制度の一つです。
給与所得控除は、サラリーマンに認められた経費と説明されることが多いです。
しかし、経費と考えるには控除額が大きすぎる。
「そんなに経費なんてかからないでしょ。」
これが政府をはじめとする意見です。
これを利用した節税策として代表的なものが、いわゆる法人成り。
個人事業である程度儲かっているなら、法人にした方が得というもの。
法人を設立して、自分や家族に、法人の儲けから役員報酬として支払う。
役員報酬として支払うことで、法人の儲けは殆ど出ないか、赤字にしてしまう。
すると、法人側ではほとんど税金の負担が生じない。
一方、役員報酬として受け取った個人側をみると、
給与からは給与所得控除という経費が引ける。
個人事業なら引けないはずの金額が、
給与なら控除できてしうってわけ。
その分税負担が軽くなる。
これでいいのかという議論も、根強く残ってます。
就労人口の9割が給与所得者ともいわれる現在、
ここにメスを入れ、抜本的に改革するとすれば、
国民に与える影響は、ものすごいでしょうね。
たぶん、数年のうちに具体的な見直しの動きが出ると思うので、要チェックです!!