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Vol.12 税法の精密さ(2)


さて、昨日の続きです。

昨日は「会社」と「法人」は使い分けられていて、「会社」よりも「法人」の方が広い概念であることが、分かっていただけたかなと思います。

たとえば、「会社」というと、株式会社は含まれるけれど、医療法人は含まれない。「法人」というと、株式会社も医療法人も含まれる。ということになるわけです。

税法をみていると、この使い分けがはっきりとされている条文がたくさんあります。

典型的なものが、「同族会社」という単語です。簡単に言えば家族で設立した会社のように、株主を親族で占めている会社などのことです。

税法では、株主が家族だけのような会社は、上場会社などと異なり、節税のために好き勝手なことをしかねないという思考を働かせています。

そこで、同族会社については、節税目的だけと思われる活動などについて、課税を免れないようにするために、条文上一定の制限をかけているわけです。

この対象となるのは「同族『会社』」なので、医療法人や宗教法人、学校法人、一般社団法人などは含まれないということになります。

たとえば、同族会社では、稼得した利益について、株主への配当を敢えてせずに会社に留保することで、会社に株主を合わせたところで節税を図ることが可能になります。

会社の株主が自分たち家族だけなら、配当しない目的が節税のためと分かっていますから、文句を言う人も出ないですよね。これが上場企業なら、株主から厳しい意見が出されることでしょうから、到底採りえない節税手法なわけです。

そこで、法人税法では、一定の同族会社について「留保金課税」という制度を設けて、通常の「儲け」に対する課税以外に、利益の蓄積額に応じた課税をすることで、株主への配当を促そうとしています。ただし、この規定は現在のところ、資本金の額や出資の金額が1億円以下の一定の同族会社などについては適用対象から除かれていますが・・・。

この留保金課税の制度は、医療法人には適用されないんですね。医療法人は「会社」ではないためです。

形式的にはこれで説明できるのですが、では、なぜ「同族『法人』」に対する規定としなかったか。そこが重要なんですね。

それは、現在、医療法人を設立した場合、株式会社でいう「株主」のように、その法人の「持分」を持った者が存在しえないためです。

株式会社の場合、会社は「株主」のものと説明されます。つまり、会社を「や~めた」と解散すれば、借金などの負債をすべて返した残りは、株主が出資持分に応じて分け分けすることになります。

現在設立できる医療法人では、医療法人に対する持分をもっている者、つまり、残った財産を分け分けする存在にあたる者が「いない」ということです。宗教法人や学校法人、一般社団法人なども同様で、こういった法人のことを「持分の定めがない法人」といいます。対する株式会社や有限会社などは「持分の定めがある法人」といいます。

「持分の定めのない法人」は、稼得した利益を配当金として支払うことはできません。配当金を支払うことで稼得した利益を株主に還元できる、株式会社のような「営利法人」と一線を画した「非営利法人」と位置づけられます。

たとえば、医療法人では医療法第54条で「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と規定しています。

すると、利益が出れば、おのずと法人内部に蓄えられますね。そこに留保金課税の制度を適用して「おたくは節税のために配当をせず内部にため込んでいるから、そこに課税します」なんてすれば、医療法人としては、利益を出せても出したくなりますよね。

そこで、法人税法では留保金課税制度の対象から、「持分のない法人」を除くために「会社」を対象としているわけです。

どうですか?ふか~いですよね。税法ではこういった「なるほど、それでそのように規定されているんだ」というとことが沢山あります。毎年の税制改正の条文案(法律・政令・省令)を作成している財務省主税局のお役人さんって、いったいどんな頭脳を持っているのか、凄すぎます!

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