Vol.192 続・1日違いで大違い
不動産の譲渡で得た儲けに課される税金が、
不動産を購入してから売却するまでの所有期間が5年超どうかで倍違う。
この5年超かどうかは、購入してから売却する日までではなくて、
売却する日の年の1月1日時点で5年超かを判定する。
ここまでが、昨日のお話しですね。
で、この購入し日と、売却した日は、不動産の「引渡し日」とするのが原則です。
つまり、通常なら、代金の決済をして登記をした日になるってこと。
ただ、この「引渡し日」ではなく、「契約日」を選択できるという解説を目にすることがあります。
これは誤りで、「契約日」ではなく「契約の効力発生日」を選択できるとするのが正解。
細かいようですが、実際にこれで不利益を受けることもあるってことです。
「契約日」なら、契約書を作成した日付でOK。契約書の中身は不問ってこと。
でも、「契約の効力発生日」だと話は違うよと。
つまり、「中身はどうなの?」となる。
契約書の中をツラツラと読んでいると「停止条件」が記載されていると要注意。
簡単に言えば、停止条件とは「ある条件が成就すること」が前提条件だよって意味。
その条件が成就したら、その成就した時から効力が発生します。
△
民法127条1項
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
▽
その条件が成就しなかったら、契約日付に遡って、その契約は無効になっちゃうってことです。
たとえば、「テストで100点をとったら、焼肉食べに連れてってあげる」という契約なら。
「テストで100点をとること」が「停止条件」で、これを成就すれば、
焼肉食べに連れてってもらえるわけです。
でも、100点をとれなければ・・・。
契約は最初からなかったことになっちゃうわけ。
で、停止条件付の契約かどうかで次のような違いが生じ得るということ。
【購入時の契約が停止条件付ではない場合】
購入時の売買契約日:平成20年12月31日
売却時の売買契約日:平成26年1月31日
→この場合だと、不動産の所有期間は平成26年1月1日時点で5年超。
儲けに課税される税率は、20%(所得税・住民税)
【購入時の契約が停止条件付の場合】
購入時の売買契約日:平成20年12月31日、ある条件が成就したとき:平成21年1月10日
売却時の売買契約日:平成26年1月31日
→この場合だと、不動産の所有期間は平成26年1月1日時点では5年未満。
平成21年1月10日~平成26年1月1日 で判定するわけですから。
儲けに課税される税率は、39%(所得税・住民税)
ただ、民法127条3項では、次の規定があります。
△
当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
▽
この場合の契約の効力発生日は・・・契約日となるのでしょうね。
通常は、契約書にこんな文言が入ってるのでしょうけど、なかったら・・・
ちょっとしたことで、この違い。ホント恐ろしいですね~・・・。
やはり、契約書の中身は十分チェックするべきですね。