Vol.82 違い(2)~常識で考える
問題の大きさが低い順になれべると、
節税(合法)<所得隠し(違法)<脱税(違法)
脱税は前科もの、所得隠しは違法だけど脱税まではいかない。
ここまでが、昨日書いた内容ですね。
で、租税回避です。
これがどこに入るかといえば、節税の次に入ります。
節税(合法)<租税回避(形式は合法)<所得隠し(違法)<脱税(違法)
こんな感じです。
租税回避とは、
「私法上の選択可能性を利用し、私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、通常用いられない法形式を選択することによって、結果的には意図した経済的目的ないし経済的成果を実現しながら、通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、もって税負担を減少させあるいは排除すること」(金子宏著「租税法」より)と定義されています。
・・・ん~、なんとも難しいですね。
両者とも税負担の軽減が目的なのは同じです。
両者の違いを簡単にいえば、経済的合理性があるか否かです。
「節税」は、税法に照らして正常な行為で、税法も「節税」となる行為を予定しています。
「租税回避」は、税法に照らして異常な行為で、税法は「租税回避」となる行為を予定していません。
では、どんな行為が「租税回避」になるかといえば、
・1枚の領収書を、5万円未満の領収書複数枚として、印紙を貼付しない。
・自分の会社に、自宅を月20万円で社宅として貸し付け、会社から月15万円で借り戻す。
・ずっと空き家の自宅を売ると利益が出るので、3000万円控除を受けようと、売る前に一時住む。
・・・etc
どれも形式的には法律に反していないけれど、通常では考えにくい行為です。
つまり、「税金の負担を免れる以外に目的はない」と考えられるわけです。
こういった行為を認めると、公平な課税ができなくなってしまうので、
これらは租税回避行為として否認される可能性が大きいんです。
税法は、常識で作られているって理解することができますね。