Vol.95 理屈は分かるけれど・・・
何かと世間を賑わせている消費税ですが。
売上に含まれる消費税は「預かったもの」で、「自分のお金じゃない」
よくそんな風に言われますが、実際には、なかなかそう考えにくいのではないでしょうか。
消費税の仕組みは次のように説明されます。
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製造業者が108円で卸売業者に作った製品を売る。
卸売業者は108円で仕入れた商品を、
小売業者に216円で売る。
小売業者は216円で仕入れた商品を、
一般消費者に324円で売る。
小売業者は、一般消費者から24円の消費税を預るものの、
卸売業者から商品を買う際に、16円の消費税を払っているため、
国へ納付する消費税は、24円から16円を引いた、8円だけになる。
卸売業者は、小売業者から16円の消費税を預かるものの、
製造業者から商品を買う際に、8円の消費税を払っているため、
国へ納付する消費税は、16円から8円を引いた、8円だけになる。
製造業者は、卸売業者から8円の消費税を預かっている。
仮に、製品を作る際に、消費税を払っていないとすると、
国へは卸売業者から預かった8円を納めることになる。
製造業者、卸売業者、小売業者は各8円ずつ消費税を納めます。
国に入る消費税の総額は、8円×3=24円となります。
この24円は誰が負担した金額かと言えば・・・。
答えは、一般消費者。
製造業者、卸売業者、小売業者は、消費税を1円も負担していません。
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こんな理屈です。
確かに、この例を見れば、
こんな理屈も理解できますが・・・
はたして、これで実感に合いますかね?
「モノを売る際には、消費税を取りなさいよ~」とは消費税法のどこにも規定がありません。
小売業者は216円で仕入れた商品を316円で売って100円の儲けを得ようと思った。
でも、316円で売っていては、消費税を納めると手元に100円のお金は残らない。
消費税を納めた後で100円のお金を残すためには324円で売る必要がある。
だから、売値を324円とした。実際には、ただそれだけのことなんですね。
つまり、消費税を納める前で100円の利益を稼げれば十分なら、316円で売れば良いわけです。
消費税を納める前で110円の利益を稼ぐ必要があるなら、326円で売る必要があります。
そのうえで、納めないといけない消費税については、別個に計算をしておく。
売上で貰うお金も、仕入れなどで払うお金も、
どちらも消費税込みで考えるわけですから、
そのほうが実感として合いませんかねぇ。