Vol.136 厚生労働省の想い VS 税制
大学病院などの大病院では、
紹介状がないと、初診料の他に別途料金が必要ですね。

高度な医療が必要な、重症患者の治療が求められる大学病院などに、
軽症の患者が訪れることを抑制するための、いわば歯止めですね。
これは保険の対象外で、数千円程度が請求されています。
で、これが医療費控除の対象になるとの解説です。
今週の税務通信の記事より。
△
東京国税局は、病院のいわゆる”紹介状”に係る文書料が医療費控除の対象となることを示した。
(略)
一定規模の病院で初めて受診する際等には、紹介状がないと”初診時選定療養費”などという名目で数千円程度の費用がかかることがある。
紹介状に係る費用と同様に、初診時選定療養費も一般的には医療費控除の対象となる。
▽
(国税庁HP~診療情報提供書に係る診療情報提供料の自己負担額の医療費控除の取扱いについて)
要は、
①「医師等による診療又は治療、治療又は療養に必要」で
②「病状等に応じて一般的に支出される水準」なら、医療費控除の対象ですよと。
ちなみに、診断書は、治療内容などを書いた書類で、
生命保険会社へ保険金請求に用いたりする書類なので、
上記の①に該当せず、医療費控除の対象外になっています。
厚生労働省は、紹介状なしで大病院に来る患者の窓口負担額を高くして、
軽症の人の来院を防ぎ、大病院が本来の役割を果たせるよう改革するようですが、
一方の税制で医療費控除を認めていたら、効果は半減してしまってると思うのですが・・・。
ん~、これでいいのかなぁ(^^;
Vol.135 格差社会
税制改正大綱の目玉の一つに「法人税率の引き下げ」があります。
端的に言えば、黒字法人優遇、赤字法人課税強化。
格差社会は法人の世界にも広がるのかなぁ。

税制改正大綱では、
△
「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことにより、
法人課税を成長志向型の構造に変えるものである。
(略)
「稼ぐ力」のある企業や企業所得の計上に前向きな企業の税負担を軽減することで、
企業の収益力の改善に向けた投資や新たな技術開発等への挑戦がより積極的になり、
(略)
▽
と説明されています。
今回は、主に大企業向けの「課税ベースの拡大」に留めました。
まだまだ業況が厳しい中小企業にも手を付けるのは、時期尚早との判断だったのでしょう。

ただ、
△
中小法人のうち7割が赤字法人であり、一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえつつ、
中小法人課税の全般にわたり、各制度の趣旨や経緯も勘案しながら、
引き続き、幅広い観点から検討を行う。
▽
としています。
近い将来には、「中小法人にも手を付けるよ」と。
敢えて法人には利益を残さないようにしているケースもあるので、
一部の赤字法人にも税負担を求めるとする理由も分かるのですが・・・
これが実行されると、
本当に厳しい中小法人にはたまったもんじゃないでしょうね。

本当に厳しい中小法人には税負担を求めず、節税スキームとしての中小法人利用には課税をする。
やるなら、これなんでしょうけれど・・・さて、執行できる仕組みが作れるかどうか。注目です。
Vol.134 願えば叶う!?
△
生命保険の契約者変更が税務署に把握されるようになる。
これは国税庁の8年越しの要望で、平成27年度税制改正大綱に盛り込まれたもの。
▽
今日のタビスランドの記事です。
これ、なぜ今年の税制改正大綱に入ったのかと疑問だったのですが、
国税庁の長年の要望が実ったということだったのですね。
8年も切望していたとは知りませんでした・・・。
なぜ改正に至ったのかの理由を知るには、
前提として、生命保険契約の性質を理解しておく必要があります。
1つ目は、保険を解約した場合に、解約返戻金を受け取れるのが「契約者」ということ。
2つ目は、保険契約者=保険料負担者となっていることが一般的であるということ。
生存している相続人が被保険者、被相続人が契約者となっている生命保険契約では、
相続が発生しても、被保険者はご健在なので、保険金は未だ支払われない。
でも、保険契約者は死亡しているので、契約者の変更が必要。
保険契約者は、保険契約を解約した場合に、
解約返戻金を受け取れる。
新たに保険契約者となった相続人は、
被相続人が保険料を払ってくれていた保険契約について、
相続時点で解約したら受け取れる解約返戻金を相続したといえる。
本来なら、この解約返戻金相当額について、相続税が課税されるわけですが。

その申告をきちんとしているケースが少ないのですね。
他にも、国税庁が要望を出している項目は多岐に渡ると思いますが。
さて、次に改正される国税庁の要望はなんだろう・・・。
これを知るには、情報公開法に従った手続きを踏む必要があるのですね。
Vol.133 アメとムチ
現在でも、所得が2,000万円以上の人は、
確定申告の際に、「財産債務明細書」の提出が必要です。
年末に所有している全財産と債務を税務署へ報告するのですが、
いい加減な記載内容のものが多かったようです。
これが、「財産債務調書」として整備されることになりました。
現在は、仮に明細書の記載内容が事実と反するものでも、特段の罰則はなし。
平成28年以後は、仮に調書の記載内容が事実と反するものだと、
将来、「あイタ~(泣)」という目に合うことも。
逆に、調書をきちんと記載していると、
「助かった~(嬉)」となるかも。

当初の所得税や相続税の申告が少なくて、あとで修正した場合には、過少申告加算税等が課されます。
これが、調書の記載内容次第では、さらに重くなったり、逆に軽減されたりすることに。
まさに、アメとムチですね。

この財産債務調書の提出が義務付けられるのは、
①所得が2,000万円以上
かつ
②12月31日の財産を3億円以上所有している人 又は 有価証券を1億円以上所有している人
です。
仮に、個人所有の預貯金にも通称マイナンバーが導入されると、
ここでも、マイナンバーが威力を発揮するのかもしれませんね。
個人資産が、国の監視下におかれる時代もすぐそこか??
Vol.132 何事も度を過ぎると・・・
鳴り物入りで登場した、太陽光発電ですが。
税制面でも、法人や一定の個人事業主のかたが購入した費用を、
購入した年に全額経費計上できる特例を設けるなど、その普及を後押ししていました。

その後、
電力買取価格の見直しや、
買い取り自体の見合わせなどのすったもんだがあり。
結局、先に書いた特例制度は、今回の税制改正大綱で延長の対象から外れました。
結果、平成28年3月末までに取得したものまでで特例の適用は終了。
ただ、太陽光発電以外のエネルギー設備は1年延長です。
風力発電や地熱発電なんかが対象です。
でも、コストが合うんでしょうかね。
税制で後押しするとしても、
普及が進むか・・・。


太陽光発電の終焉が訪れたのでしょうか。
世の中での普及速度が速すぎたのか、
電力会社の見込みが甘かったのか。
政府の見込みが甘かったのか。
「おごれる者は久しからず」
肝に銘じておこう。
Vol.131 過渡期
先日、ご家族にご不幸があったかたとお話をしていたときのこと。
この度の相続税法の改正を気にされていました。
「基礎控除が随分下がったんですね・・・。」
と無念そうに話されていました。
そう、相続税の負担が増えることを懸念されていたわけです。
ところが、よくお話を聞いてみると、相続発生日は、昨年の年末。
改正後の相続税法は、今年1月1日以後に発生した相続が対象です。
ご相談者様のご家族の相続発生日は昨年末なので、改正前の法律によります。
そのかたは、相続税の申告をする時点の法律が適用されると思われていたようでした。
これから発生する相続は、すべて改正後の法律によります。
このご相談者様のように、ご心配されてるかたも多いかもしれませんね。
改正後の基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
改正前は5,000万円+1,000万円×法定相続人の数ですから、
ある程度財産をお持ちのかたには、負担感は高く映りそうです。
そこで、例えば、相続人が配偶者と子1人の家庭で、
財産を法定相続分で分けた場合について、
改正前後の相続税の負担を比較すると。
①財産が5,000万円の相続税の負担は、
(改正前)ゼロ → (改正後)40万円 ・・・40万円増
②財産が1億円の相続税の負担は、
(改正前)175万円 → (改正後)385万円 ・・・210万円増
③財産が3億円の相続税の負担は、
(改正前)2,900万円 → (改正後)3,460万円 ・・・560万円増
金額で見れば、「結構負担が増えたなぁ」という印象があるかも。
ただ、増加金額の相続財産に占める割合はというと・・・
①のケースでは「0.8%増」
②のケースでは「2.1%増」
③のケースでは「1.9%増」
・・・そんなに増えていないのが分かります。
「相続税増税」という言葉などが独り歩きして、
世間では、あたかも大事件のような風潮が漂っていますが、
きちんと理解すれば、焦らずに対応できるのではないでしょうか。
この度ご不幸があった、ご相談者様には、謹んでお悔やみ申し上げますm(_ _)m
Vol.130 誕生秘話?
平成28年からジュニアNISAが登場するわけですが。
非課税となる口座へ預入れできる上限は、年間80万円です。
この80万円という微妙な数字が誕生するまでを、勝手に想像すると。
—————————————-
A氏:イギリスなんかじゃ、もっと活発に利用しているし。
B氏:いくらを上限にしようか?
A氏:大人が年間100万円だしねぇ・・・。
C氏:半額じゃ効果も低そうだし、大人の8掛けで80万円でどうかなぁ?
A氏:20万円しか違わないってのは・・・。
B氏:じゃあ、大人の方を月10万円×12カ月の120万円にしたらどうかなぁ。
A氏:なるほど、そしたら子供の1.5倍か!月10万円てのもいい感じだね。
C氏:いいね。子供はお金持ってないから、資金は親などが贈与してもらおう。
B氏:80万円なら、110万円の贈与税の基礎控除の枠に納まってるし、贈与しやすいね。
C氏:大人の上限120万円分の資金を贈与すると、贈与税がかかるって違いも作れるね。
A氏:そうだね。あとさぁ、できれば、おじいちゃん、おばあちゃんが贈与してほしいね。
C氏:そうだったね。高齢者の資金を次の世代へ移すのが目的の一つだしね。
B氏:ほんと。大人版の利用者のほとんどが高齢者だし、市場も若返らせないとね。
A氏:そうだね。説明資料も、贈与者をおじいちゃん、おばあちゃんをイメージして作るよ!
B氏:じゃあ、もらう方は赤ちゃんの絵だね♪ゼロ歳からでもできるって分かってもらいやすいし!
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そして、ジュニアNISAが誕生・・・あくまで、勝手な想像ですが。

80万円が上限ですから、ジュニアNISAの資金だけの贈与なら、贈与税の申告は不要。
一点だけ、「3月31日で18歳になっている年の1月1日」より前(前年以前)に、
口座から引き出すと、その引き出した日に「株の譲渡をした」、「配当の支払いを受けた」
とみなされて、せっかく非課税となっていた利益に課税されてしまうので注意ですね。
Vol.129 福をまく
1月は行く、2月は逃げる、3月は去る、と言いますが。
今日は十日戎。1月も既に3分の1を経過したということ。
今日のNHKニュースです。
△
ことし1年の商売繁盛を願って9日から始まった大阪の今宮戎神社の「十日戎」では10日、
芸妓さんたちが華やかなかごに乗って神社にお参りに行く「宝恵駕籠(ほえがご)行列」が行われました。
▽
商売繁盛を願うのは、どの経営者でも同じですね。
政府も昨日、
商売繁盛を願い(?)、
補正予算案を組んだのだとか。
今日の日経です。
△
政府は9日の閣議で、総額3兆1180億円の2014年度補正予算案を決めた。
景気を下支えする緊急経済対策を盛り込み、個人消費の喚起と地方の産業振興を狙う。
厳しい財政に配慮し、13年度補正より公共事業を減らした。
ただ、15年度当初予算の歳出を抑えるために、
経済対策に前倒しで盛り込んだ項目も目立ち、
ばらまき色はぬぐい切れていない。
▽
・・・ん~手厳しいご指摘。
昨年6月に閣議決定された、
では、アベノミクス効果に一定の評価をしつつも、
△
経済の好循環を引き続き回転させていくためには、
日本人や日本企業が本来有している潜在力を覚醒し、
日本経済全体としての生産性を向上させ、
「稼ぐ力(=収益力)」を強化していくことが不可欠である。」
▽
と指摘しています。
あれから半年、
補正予算を組んでも、
ばらまきと評されていては・・・。

同じばらまくなら、
十日戎のように、福をばらまくのが良いかな(^^;
Vol.128 入口と出口
国税庁HPより。
△
平成25年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告について、
復興特別所得税の記載漏れによる申告誤りが数多く見受けられました。
確定申告書の作成に当たっては、復興特別所得税の記載漏れのないようご注意ください。
また、「確定申告書等作成コーナー」をご利用いただければ、
画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動的に計算され、
計算誤りのない申告書を作成することができますので、是非ご利用ください。
▽
東日本大震災の復興のための税なので、財布も別に分けている。
ところが、確定申告書に「復興特別所得税」を記載しないと、
分けた財布に入ってくるはずのお金が入ってこない。
みなさん、間違えないでくださいね~。ってこと。

(画像は国税庁HPより)
で、これは入口の注意書きで、国民が気を付けること。
一方、出口の注意書きもあり、これは、お上の皆さんが気を付けること。
こちらの注意書きを書いているのは、このブログでも何度となくご紹介している会計検査院。
これまでにも、次のような手厳しい指摘をしています。
△
復旧・復興関係経費の一部が、
震災前から一般会計により継続的に実施されていた事務・事業等に支出されたり、
被災地域における社会経済の再生や生活の再建等に直接結びつくとは考え難い使途に充てられたりなどしていたことは、看過できない。
政府は、同経費の財源が増税による国民負担で賄われていることを強く認識して、(略)予算の査定、事業実施箇所の選定等を厳格に行うべきである。
(「東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について」)
▽
復興特別所得税は、
平成25年1月1日~平成49年12月31日まで続く予定です。
・・・本当にこれだけ長期間続けるのか不明ですが。
少なくとも、上述のような問題があると、
復興税の存在意義が疑問。
納税する私たちも、間違えずに申告するので、
使う側の立場にいる、お上の皆さんも、間違えずに使ってほしいものです。。。
Vol.127 本当に大丈夫?
原油安では、円安のデメリットを食い止められないようです。
昨日の日経の記事です。
△
帝国データバンクは7日、2014年の円安関連倒産が13年の2.7倍の345件に上ったと発表した。
負債総額も約3倍の1633億円だった。
業種別では運輸・通信業が最多の27.8%を占めており、卸売業や製造業が続いている。
都道府県別に見ても鳥取県を除く全国46都道府県で倒産が発生しており、影響は全国に広がっている。
▽
黒田総裁とアベノミクスにとっては、原油安自体も大問題。
何しろ、「円安主導→原材料高騰→物価上昇」と描いていたのに、
これだけの原油安になってしまうと、物価上昇も抑えられてしまうでしょうし。
残された円安の効果は、原材料高騰で訪れたのは、記録的な円安関連倒産。

円安によって、海外生産品を逆輸入するメリットがなくなるので、
生産拠点を国内に戻す動きがあり、雇用に繋がるといった報道もありますが。
ただ、海外生産品を海外向けに販売するなら、そもそも円安の影響を受けません。
日産のゴーン社長は、「消費地で生産する原則は変わらない」とも言われているそうですし。
いずれにしても、円安関連倒産がこれだけ起こったという事実は変わらないわけで。
消費低迷、円安関連倒産急増、原油安・・・
アベノミクス成功には、悩みの種がちょっと多すぎるような。
いや、アベノミクスの成否とか、そんな悠長なこと言ってる場合ではないのかもしれません。

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