Vol.86 相田みつをさんの詩にみる「相続人の心得」
相続人が、被相続人の財産と気持ちを円満に受け継いでいく。
良い相続ですね。この場合の相続は、「あいつづく」と読めるのでしょうね。
相続人が、被相続人の財産を奪い合う。この場合の相続は「争族」と称されたりします。
さらに。財産の奪い合いが、後生にまで続いていけば「争続」になる。
「あいつづく」と「あらそいがつづく」のでは、雲泥の差ですね。
先日の朝日デジタルの記事から。
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おばの生前、女性はいとこから「面倒をみられなかったから相続は辞退する」と何度も聞いた。女性とともにおばの面倒を見てきた遠縁の親族がいたが、民法上はおばの遺産を受け取る権利がない。そのため女性は自分が遺産を多く受け取り、この親族と分けたいと考えていた。
ところが――。おばの死後、相続人が一堂に集まった機会に、いとこが突然全員に文書を配った。遺産を法で定める通り分けたいと書かれていた。女性は猛反対した。「おばの遺産の大半は面倒を見なかった人に渡ってしまう。そんなのおかしい」
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ここに登場する女性の言い分は、とても良くわかります。
私が女性の立場だったとしたら・・・。きっと、同じ気持ちになるでしょうね。
被相続人が、自分の想いとともに遺言書として残していれば、結果は、随分違ったかもしれませんね。
相続人の皆さんに、生前から言葉としても伝え、その言葉通りの遺言書を「元気なうちに」作る。
ただ、一番の鍵は、その気持ちを相続人の皆さんに、理解して貰えるかだと思います。
受け手側の相続人は、被相続人の気持ちを尊重し、「譲り合う気持ち」を持つ。
ここが無いと、仮に遺言書通りに財産を分け合えたとしても、
気持ちのわだかまりが残らないと言えるかどうか。
相田みつをさんは、こう残されています。
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「わけ合えば」
うばい合えば足らぬ
わけ合えばあまる
うばい合えばあらそい
わけ合えばやすらぎ
うばい合えばにくしみ
わけ合えばよろこび
うばい合えば不満
わけ合えば感謝
うばい合えば戦争
わけ合えば平和
うばい合えば地獄
わけ合えば極楽
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