Vol.168 税制改正案の公表日に合わせての発表
昨日、いくつか疑問として挙げたうち、
1つについて国土交通省と総務省が回答してくれました。
今日の日経の記事です。
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国土交通省と総務省は荒れはてた空き家の撤去を促すための指針案をまとめた。
空き家かどうかを判定する目安として、建物が1年間にわたって使われていないことを挙げた。
空き家は全国で800万戸を超えており、火災や犯罪の温床となる恐れが指摘されている。
(略)
指針案は人の出入りの有無や電気、ガス、水道の使用実績をふまえ、
年間を通じて建物が使われていないことを基準として例示した。
処分に悩む所有者からの相談や、近隣住民の苦情に応えられるしくみを整えることも提案した。
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で、税制改正でも、この1年基準というのは踏襲するのでしょうね。
あとは、この調査をどうやってするか・・・でしょうか。
くしくも、税制改正案の公表と同日(財務省HP参照)。
まるで、合わせたかのような発表ですね。
Vol.167 税制改正の発表!?
「下駄を履くまでわからない」なんていいますが。
税制改正も、条文を見ないと分からないことがありますね。
今の時期は、税制改正大綱を読んで、推理ゲーム状態なところもあり。
参加しているtaxMLで、明日が税制改正が発表じゃないかと教えていただきました。
その記事が、今日のNHKニュースの記事です。
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政府は、デフレ脱却と経済再生の実現に向けて、法人税の実効税率を引き下げることなどを盛り込んだ新年度・平成27年度の税制改正の関連法案を17日閣議決定し、国会へ提出することにしています。
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税制改正大綱で、おおよそ見当がついても、
実際に条文を見ないと確証も持てないこともあり。
ま、条文を見ても確証を持てないことも多々あるのですが(汗
たとえば、
・結婚資金・子育て資金贈与は相続税対策としては使えない制度なのか。
・固定資産税の軽減から外す空き家は、何を持って空き家と判断するのか。
・1億の価値がある自社株を、海外在住の息子に贈与すると、本当に、息子に贈与税+自分に所得税が課税されるのか。
・住宅取得資金贈与は、現行法の適用を受けていても、重複適用が可能なのか。
・・・など。
色々と教えてもらっている内容から、
大幅に狂うことはないと思いますが。
まずは、目の前の山積みの仕事をこなさなければ(^^;
Vol.166 押さえておこう
来年からNISAの非課税枠が年間120万円に広がりますね。
これで株式市場が活性化するのでしょうか。
今日のタビスランドより。
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野村総合研究所が、全国の20代~70代の男女を対象に1月に実施した
「NISA(少額投資非課税制度)についての利用実態調査」結果(有効回答数7000人)によると、
今まで投資の経験がなく、2014年に初めて投資を開始した「新規投資家」のうち、
NISA口座で投資を始めた人は52.5%だった。
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つまり、残り半分はNISAと関係ないところで投資を開始したと言えるわけで。
思うに、流行りのアベノミクスに乗っかったってところでしょうかね。
たぶん、富裕層か機関投資家なのでしょうね。
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2015年中には、2014年末から、さらに17.5%増加して979万人に達すると見込んでいる。
しかしこの数値は、NISA口座開設について強い意向を持つ人を取り出したもので、
意向はあるが、それほど強くは思っていない人も含めると同じく30.8%の増加となり、1090万人に達する可能性もある。
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なんだか、株式市場に招き入れるためのフレーズが並んでいるように見えるんですけれど。
いや、投資を否定しているわけではないのですが、リスクも考えておくべきかなと。
投資すれば必ず値上がりするという保証は、存在しないと思います。
あの外食産業の王者マクドナルドが凋落することもありますし。
さらに、NISAで生じた損失は、NISA以外の利益との相殺は不可。
いくら余裕資金で投資するといったとしても、これくらいは踏まえておくべきですよね。
Vol.165 年金が時効に?
確定申告期のネタとして。
年金の受け取りには注意が必要なんですね。
たとえば、6月生まれの人が65歳になって、年金を貰おうと手続きをします。
この手続きの対象は、「老齢基礎年金」なんですね。
ただ、65歳未満の人でも、
①老齢基礎年金を受けるのに必要な資格期間を満たしている
②厚生年金の被保険者期間が1年以上ある
この要件を満たしていると、60歳から65歳まで、
「特別支給の老齢厚生年金」が支給されるんだそうです。
気を付けないといけないのは、
たとえば、6月で65歳の誕生日を迎えて、
10月まで受給手続きを忘れていたようなケース。
というのも、年金の受給権についても、
次の時効の規定が置かれているからなんですね。
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年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年を経過したときは、時効によって消滅します
(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)。
~日本年金機構HPより
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つまり、本来受け取れるはずだった、
60歳になった年の6月~10月分の年金が、
時効で受け取れなくなっちゃうってことのようです・・・。
年金のもらい忘れには気を付けましょうね。
あ、ちなみに、過去5年間分の「特別支給の老齢厚生年金」は、
齢基礎年金の受取手続きをすれば、5年分一括支給してもらえるようです。
この場合の税金の取扱いとしては、それぞれの年分の確定申告を修正することになります。
(参考)所得税法36条、所得税基本通達36-14
Vol.164 源泉徴収制度っていったい・・・
受け取る給与からは、色々と天引きされていることと思います。
「源泉徴収」というやつで、所得税も、源泉徴収される一つですね。
お勤め先の企業が、給与を支払う際に所得税を源泉徴収し、
給与を受け取る皆さんに代わって、国へ納付しているわけです。
で、企業が所得税を源泉徴収するのは、給与の支払い以外にもあります。
たとえば、弁護士や税理士なんかに報酬を支払う際も、所得税を源泉徴収します。
所得税法204条で「報酬を支払うときは、所得税を天引きしてね」と規定しているためです。
ただ、支払う側が、法人ではなく、一定の個人事業主の場合には、源泉徴収が不要とされてます。
簡単に言えば、「人を雇っていない個人事業主」が、これに該当します。
誰も人を雇っていない個人事業主なら、当然給与は支払わない。
給与を支払わないなら、給与から所得税を天引きすることは、あり得ない。
そんな個人事業主にまで、弁護士や税理士なんかに報酬を支払うからといって、
その分だけ所得税を源泉徴収させて、納めてもらうっていうのも酷でしょう。
だから、人を雇っていない個人事業主であれば、
報酬を支払う際にも所得税は源泉徴収しなくていいってわけ。
(所得税法183条、184条、204条2項2号 参照)
ただ・・・
その個人事業主が人を雇っているかどうか、
請求書を発行する弁護士や税理士なんかが知っているかどうか・・・。
源泉徴収する所得税があれば、通常は請求書に記載されるはず。
その請求書は、当然、 弁護士や税理士など、請求する側が作成するわけですね。
請求書を作成する側で、相手が所得税を源泉徴収する義務の有無を判断・・・なんて無理ですよね。
請求書を発行する際に、「請求書を発行するんですけど、あなたは人を雇っていますか?」
なんて、いちいち聞くことなんてありえないでしょうし。
そんなことを考えてみると、源泉徴収制度って、
なんだか不思議な制度なのかも(^^;
Vol.163 最高益でも喜べない
「上場企業が最高益26兆円 円安効果、通期決算見通し」
だそうな。ただ、勝ち組と負け組、明暗が分かれのですね。
今日の日経デジタルの記事です。
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円安を受け、自動車や電機を中心に大企業の業績が伸びている。
東京証券取引所第1部に上場する企業の2015年3月期(14年度通期)の純利益は前年より約3・5%増え、26兆5千億円前後になる見通し。
2年連続で過去最高を更新しそうだ。
ただ、小売りや卸売業などでは輸入する原材料の価格が上がったことや個人消費の伸び悩みが響き、業績の悪化が見込まれている。
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輸出企業が円安の恩恵を受け、内需に頼る企業が円安の煽りを受けたと。
さらに、原油価格の下落で、石油元売り企業は大ダメージを受けたと。
個人だけではなく、ここでも、格差は拡大したんですね・・・
つまり、株式投資をしている人にも影響があったと。
なるほど。株式投資を大量にしている富裕層でも、
一概に株高の恩恵にあずかったとは言えないのですね。
円安と原油安。
この二つの持つ影響力が、
企業の頑張りを上回るということでしょうか。
仮にそうなら、どちらに転ぶか分からないとは、なんとも恐ろしい・・・。
政府はこの結果をどう受け止めて、どう今後に活かしていくのでしょうかねぇ。
少なくとも、手放しで喜べることではないことだけは確かでしょう。
Vol.162 最後に笑うのは?
毎年1月1日に土地・建物を所有している者に課税される固定資産税と都市計画税。
住宅と、その敷地については、大幅に軽減されます。
例えば、固定資産税。
住宅敷地についていえば、
200㎡までは、なんと6分の1に軽減!
200㎡を超えた部分についても、3分の1に軽減です。
建物の床面積の10倍が限度ですが、100㎡の床面積なら、1,000㎡。
普通に考えれば、だいたいこの範囲内に収まりますから、軽減の対象になりますね。
で、昨年11月に成立し、今年から施行される「空家等対策の推進に関する特別措置法」ですが。
今回の税制改正大綱では、いくら住宅とはいえ、それが空き家のまま放置されていると、
固定資産税の軽減措置を受けられないようにする改正案が入っています。
(税制改正大綱P48参照)
これに関連する記事が、昨日の日経デジタルに出ています。
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ドイツの空き家率は1%程度、英国の空き家率は4%程度と低水準にある。
ところが、日本の住宅はすでに「飽和状態」をはるかに通り越して「大幅に余剰」している。
(略)
この空き家問題は、なにも地方に限ったことではない。
放置された空き家が崩れる、放火など犯罪の温床になる。
ひいては街の価値を毀損するといった懸念が各所で広がっている。
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これが問題意識としてあるのですね。
役所にとっても、ウェルカムな改正なのでしょうね。
なにせ、固定資産税が6倍取れる物件が出るかもしれないのですから。
もう一つ、これを契機にしたいと考える業界もあるでしょうね。
そう、ハウスメーカーですね。
今までは、空き家のまま放置しておいても、
固定資産税は安いので、積極的に動かなかった地主さん達。
でも、今後はそうはいかない。空き家のまま放置するなら、建て替えしませんかと。
さて、空き家対策特措法で、最後に笑うのは?
Vol.161 無料相談会
今日は某ハウスメーカーさん主催の「セミナー&無料相談会」に行ってきました(^^)
確定申告の時期ですが、セミナー内容は、相続に関することです。
今回は、セミナーと相談会を同時に開催するというスタイル。
私は、無料相談担当スタッフとしての参加。
で、結構突っ込んだ相談があり。
自宅のほか、農地や収益物件など不動産を数カ所お持ちで、
今般の相続税法の改正で、焦って相談に来たとのこと。
「相続税がどれくらいかかりそうなのか、知りたくて」とのご相談。
ただ、とても簡単に試算できそうな内容ではありません。
いくら無料相談会とはいっても限界が・・・(^^;
今日は、「相続税の試算は簡単じゃない」
と、ご理解いただけていればよいかな。
(ま、簡単なケースもありますが)
今回の相続税法の改正で、
こういった相談は、ますます増えるんだろうなぁ(続く)
Vol.160 これでいいのだろうか・・・
今日は、今シーズン2回目の確定申告無料相談会の応援に行ってきました!
なかなか大変でしたが、今シーズンの当番は本日で終了~
あとは、自分の事務所の仕事に集中です!
納税者のかたから、「自分ところが忙しい時期なのに大変ねぇ」と、同情されました(^^;
で、ふるさと納税をされているかたが、昨年と比べてると、随分多い。
制度の認知度が、かなり上っているのを実感しました。
ただ、次のような会話も。
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納税者:「今回は、寄附金控除が受けられると思うんです」
私 :(領収書を見て)「あ~、ふるさと納税されたんですね」
納税者:「そうそう、お肉貰ってね~。良かったわ」
私 :「この町、何て読むんですかねぇ?」
納税者:「さぁ~?どこか東北の町だったと思うんだけど」
私 :「田舎とか、特にそういった縁のあるところじゃないんですね」
納税者:「そうなのよ。インターネット見てたら、お肉貰えるって書いてあるから♪(笑)」
私 :「ハハハ・・・(苦笑)」
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自分と縁のある町などを応援してもらおうとの趣旨でスタートしたのですが、
もはや、景品が主たるお目当てになっているようでした(^^;
インターネットで「ふるさと納税」と検索してみると、
人気ランキングが表示されるくらいですしねぇ。
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1月PV数ランキング 1位
そりゃ政府も、「返礼品等の送付について、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を要請する」
なんて牽制もするわけです(平成27年度税制改正大綱P6参照)。
今回の税制改正大綱で、ふるさと納税の控除限度額が引き上げられ、利便性の向上も図られます。
さて、ふるさと納税の衣を借りた「寄附金獲得合戦」は、どこまでエスカレートするのだろう。
Vol.159 目標は100%
来月の16日が所得税の確定申告期限です。
そのデータが、市町村へまわり、住民税が計算されます。
その結果、住民税の納付時期は、所得税に比べて遅くなるわけです。
で、お勤めのかたなら、勤務先が給与から天引きして、本人の代わりに納付する。
これが原則的な住民税の納付の仕方で、「特別徴収」という手続きです。
(大阪市HPより)
住民税には、もう一つ「普通徴収」という納め方もあります。
本人が、自分で市町村に納付するやり方で、
自営業のかたを対象にした方法です。
ただ、お勤めのかたでも「普通徴収」によっている人が多くいるのが現状。
東京都は、「特別徴収一本化」を目指すのですね。
今日のタビスランドから。
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東京都と都内の全62市区町村の税務担当部長等は2月5日、
都庁で個人住民税徴収対策会議を開催して「オール東京特別徴収推進宣言」を採択、
2017年度から都と全市区町村が一体となり、
原則として全ての事業主を特別徴収義務者として指定することを決めた。
(略)
実際の特別徴収の割合は約7割にとどまっているという。
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給与天引きなので、納税者本人は楽チン♪
一方、企業は事務がその分増えるわけですね。
あまり人員の入れ替わりがないような企業なら良いのでしょうが、
短期のアルバイトやパートさんで切り盛りしているような企業では、結構な事務負担でしょうね。
これを全企業に対して課していくと。
法律上は、「特別徴収」が原則ですから、
おかしなことをやっているという訳ではないのですが。
ただ、すべての企業が対応できるのか、ちょっと疑問です。
でも、東京にならえで、たぶん全国に広がっていくのでしょうね。