Vol.157 その領収書は必要経費?
来週から、いよいよ本格的に確定申告期に突入ですが。
インターネットが発達し、家に居ながら収入を得ている人も多いですね。
で、一体どこまでが必要経費として認めらるものなのか、気になるところですよね。
先日のタビスランドで、一つ参考になる裁決事例を紹介しています。
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いわゆるライブチャットサービス業務に要した
パソコンやウェブカメラ、衣服、水着、ソファー、カーテン等の購入費用並びに美容費の必要経費性の判断が争われた事件で国税不服審判所は、
パソコン等の購入費及びインターネット接続料金の必要経費性は認められるものの、
衣服、水着、ソファー、カーテン等の購入費用及び美容費については客観的に業務と直接の関係を有し、
かつ業務遂行上必要なものとは認められないと判断、一部取消しの裁決を言い渡した。
(略)
必要経費該当性については、
業務関連性に関する答述等から合理的に判断していくほかないものの、
答述は総じて終始場当たり的で一貫せず、
不自然かつ不合理な内容や業務に無理に関連づけて述べるものと認められるから信用できないと認定。
さらに、請求人が提出したメモ書き等からみても、
いずれの費用も客観的に業務と直接の関係を有し、
かつ業務の遂行上必要なものとまでは認められないと判断して、棄却している。
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・・・ん~、詳細は見ていませんが、多分、相当派手に何でもかんでも必要経費に入れたんでしょうね。
で、ダメよと怒られて、「いや、これは仕事に必要なんです」なんて具合に後付で理由を探したと。
だから、「答述は総じて終始場当たり的で一貫せず」と指摘されるのも無理ないですね。
いや、先に理由を付けておけば、何でも必要経費になると言っているわけではなく。
本当に必要な経費と、そうでない経費なんて、一見すれば、おおよそ分かります。
普段から、必要経費分を分けておき、時々どれくらいの所得かを把握しておく。
そしたら、確定申告だからと慌てずに済むと思うのですが・・・
いざ納税額を見て、少しでも減らそうと魔がさしたのか。
しかし、その後で負う代償は、きっと大きいものだったでしょうね。
Vol.156 ダブルパンチに注意!
今年の7月1日以降、
相続贈与の注意点がまた一つ。
子供が仕事の関係で、海外へ赴任した。
その場合に、子供が有価証券を相続すると大変。
良かれと思い、子供にうっかり有価証券を贈与しても大変です。
今回の税制改正で登場した「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」です。
(税制改正大綱 P27~参照)
今週の週間税務通信の記事です。
△
1億円以上の有価証券等を保有する者が本年7月1日以後に国外転出した場合に対象となるほか、
同日以後、1億円以上の有価証券等の保有者が相続や贈与により有価証券等が移転した場合の規定は、
日本国内に住む居住者から非居住者への相続、贈与に適用される。
(略)
相続税や贈与税が課税されることに加え、
有価証券等を移転させた被相続人や贈与者には、
本制度の適用により所得税が課されることになるようだ。
(略)
この相続贈与があった場合の規定は、
有価証券等を1億円以上保有している者であれば、
その相続や贈与で非居住者に移転した有価証券等の額が1億円未満でも対象になる。
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仮に、1億円の自社株を持っている親が、
帰国後、家族経営の会社を継ぐことを条件に海外赴任した子供へ、
事業承継を進めようとして、持っている自社株のうち、1千万円分を贈与すると、
もらった子供に贈与税は当然として、あげた親にも所得税が課されちゃうってこと・・・。
・・・ダブルパンチをくらったら、辛いですよねぇ(^^;
国外転出から5年以内に帰国すれば、課税は取り消されたり、
10年までは所得税の納税が猶予される規定は設けられていますが。
そこそこ順調にいっている会社の経営者なら、気を付けておきたいところです。