Vol.99 先を見る
世論調査では、自民圧勝の観測が高まっていますね。
で、自民党は、すでに選挙後を見てるのですね。
ロイターの記事より。
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14日投開票の衆院選後も政権を維持した場合、
円安対策などを盛り込んだ経済対策を28日に閣議決定し、
法人税改革を柱とする2015年度税制改正大綱は30日にまとめる方向。
15年度予算案は来年1月14日に閣議決定する案が有力となっている。
消費税増税後の景気回復が遅れる中、迅速に政策対応する姿勢をアピールする狙いがある。
自民、公明両党の税制調査会幹部は11月、
税制大綱を来年1月9日に決める日程を固めていた。
官邸側は、年内の税制大綱決定が必要だと主張し、日程を前倒しする案が浮上した。
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私も、てっきり1月9日の発表かと思っていたのですが・・・
業界のみなさんにとっては、朗報かもしれませんね。
ただ、正月休みがなくなりそうですが・・・(^^;
Vol.98 ヒット商品
少額投資非課税制度、通称「NISA(ニーサ)」が、大ヒットしているようですね。
上場株式や投資信託などの配当や譲渡益が非課税になる制度で、
年間100万円の購入額が限度となっています。
未使用の非課税枠は繰り越せませんから、
今年の非課税枠を使うなら、1月を切っています。
で、注意しないといけないのが、年末ギリギリでの購入。
上場株式や投資信託などの決済条件の特徴がポイントです。
今週の税務通信の記事です。
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「年内」に使うとは、年内に「受渡日」がくるように上場株式等を買付けることを指す。
売買の注文が成立した「約定日」が年内であっても「受渡日」が翌年になってしまった場合には翌年の非課税枠を使うことなるため留意したい。
具体的にいうと、通常、株式の「受渡日」は、「約定日」を含めて4営業日目となるため、今年分の非課税枠を使うには12月25日までに売買の注文が成立している必要がある。
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今年から株式投資を始められたかたで、まだこのあたりに詳しくないかたは、注意してくださいね!
年賀状の投函と、ニーサの利用はクリスマスまでに済まてくださいね~。
って、毎年のことながら前者は耳が痛いです(^^;
Vol.97 意外や意外
消費税関連のネタが続きますが・・・それほど重要な論点だと思うので、今日も懲りずに。
昨日、新聞等も軽減税率の対象にすべきと公明党が主張していると書きました。
新聞業界にとっては、嬉しい発言だったはずなのですが・・・
朝日デジタルで軽減税率に疑問を呈しています。
・・・デジタル新聞との立場だからなのか、
理由は分かりませんが。
ただ、正論です。
7日の朝日デジタルから。
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消費税には、所得の少ない人ほど負担が重くなる「逆進性」がある。低所得者への配慮が不可欠だ。軽減税率導入の狙いはそこにある。
ただ、軽減税率の恩恵は所得の多い人も受ける。導入すれば税収が一体改革での予定額に届かず、社会保障を支える財源に穴があくことになる。
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さらに、
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効果をあげようと対象を広げるほどに税収は減っていく。外食を含む飲食料品に適用しただけで、消費税1%あたりの税収2兆7千億円のうち6600億円、約4分の1がなくなる。
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軽減税率の抱える大きな問題点の一つです。
不足する分は、消費税ではなく国債発行で賄うのでしょうか?
円安が劇的に進む中、一つ間違えば、国債価格の暴落と背中合わせ・・・。
チキンレースを挑むメリットが感じられないのは私だけでしょうか・・・。
Vol.96 予想通りか・・・
消費税について、軽減税率を導入するに際しての問題点を、何度か書いていますが。
当初は、一部の食料品に限って、軽減税率の導入を検討していたはずが、
その対象品目が、大幅に増えていくかもしれません・・・。
やっぱりか・・・という日経の記事です。
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公明党の山口那津男代表は6日放送のBS朝日番組で、
生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率を導入した場合、
新聞や書籍も対象にすべきだとの考えを強調した。
新聞や書籍などの活字文化は重要との認識を示した上で
「ヨーロッパでは知識や情報には課税しない。
民主主義の基礎的インフラを安く提供すべきだ」と述べた。
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現状でいけば、今回の衆院選でも、与党が大勢を占めそうです。
チャンスと見るや、一気に攻勢に出た感じでしょうか。
当初、新聞社は、軽減税率の対象に新聞を含めるよう主張し、軽減税率導入を勧めていました。
ところが、軽減税率の対象品目から新聞が外され、食料品に限られると分かると、
軽減税率に疑問を投げかける記事が目立ってきました。
さて、今回の公明党のこの発言、
新聞記事の今後の内容に、影響を及ぼすのでしょうね。
平成16年9月21日に開催された、第15回政府税制調査会で、消費税について、
諸外国の実情をまとめた「税制調査会海外調査報告」が出されています。
軽減税率を推奨している方々には、是非読んでもらいたい資料です。
(こちらの旧内閣府税制調査会HP、平成16年9月21日 第15回の「提出資料」からご覧いただけます)
たとえば、こんなことが書かれています。
(デンマーク)
新聞といっても、週刊新聞、月刊新聞といったものもゼロ税率の対象となっており、
標準税率が適用される雑誌等との間で、「税の歪み」が生じている。
また、新聞にゼロ税率を適用するための執行コストも大である。
(ノルウェー)
2001年付加価値税改革では、政治的合意として軽減税率制度が導入されたが、
決して歓迎すべきことではない。
(スウェーデン)
軽減税率は非常に多くの歪みを生じさせており、単一税率の方が望ましい。
(ドイツ)
軽減税率はその執行に伴うコストが大きいため、税率構造の簡素化や他の施策を検討すべきとの意見
が聞かれた。
(フランス)
対象品目については常に議論があることや、具体的な適用税率の判断について紛争が生じることがある旨の指摘があった。
・・・さて、これら多くの国が忠告してくれている意見は、
全く無視されてしまうのでしょうかねぇ。
Vol.95 理屈は分かるけれど・・・
何かと世間を賑わせている消費税ですが。
売上に含まれる消費税は「預かったもの」で、「自分のお金じゃない」
よくそんな風に言われますが、実際には、なかなかそう考えにくいのではないでしょうか。
消費税の仕組みは次のように説明されます。
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製造業者が108円で卸売業者に作った製品を売る。
卸売業者は108円で仕入れた商品を、
小売業者に216円で売る。
小売業者は216円で仕入れた商品を、
一般消費者に324円で売る。
小売業者は、一般消費者から24円の消費税を預るものの、
卸売業者から商品を買う際に、16円の消費税を払っているため、
国へ納付する消費税は、24円から16円を引いた、8円だけになる。
卸売業者は、小売業者から16円の消費税を預かるものの、
製造業者から商品を買う際に、8円の消費税を払っているため、
国へ納付する消費税は、16円から8円を引いた、8円だけになる。
製造業者は、卸売業者から8円の消費税を預かっている。
仮に、製品を作る際に、消費税を払っていないとすると、
国へは卸売業者から預かった8円を納めることになる。
製造業者、卸売業者、小売業者は各8円ずつ消費税を納めます。
国に入る消費税の総額は、8円×3=24円となります。
この24円は誰が負担した金額かと言えば・・・。
答えは、一般消費者。
製造業者、卸売業者、小売業者は、消費税を1円も負担していません。
————————————————————————————–
こんな理屈です。
確かに、この例を見れば、
こんな理屈も理解できますが・・・
はたして、これで実感に合いますかね?
「モノを売る際には、消費税を取りなさいよ~」とは消費税法のどこにも規定がありません。
小売業者は216円で仕入れた商品を316円で売って100円の儲けを得ようと思った。
でも、316円で売っていては、消費税を納めると手元に100円のお金は残らない。
消費税を納めた後で100円のお金を残すためには324円で売る必要がある。
だから、売値を324円とした。実際には、ただそれだけのことなんですね。
つまり、消費税を納める前で100円の利益を稼げれば十分なら、316円で売れば良いわけです。
消費税を納める前で110円の利益を稼ぐ必要があるなら、326円で売る必要があります。
そのうえで、納めないといけない消費税については、別個に計算をしておく。
売上で貰うお金も、仕入れなどで払うお金も、
どちらも消費税込みで考えるわけですから、
そのほうが実感として合いませんかねぇ。
Vol.94 行政に参加する機会
「社会保障・税番号制度」、通称「マイナンバー制度」
平成28年1月からの施行に向けて、整備が進められています。
番号自体の通知は、来年の10月から始まるので、実質1年を切りました。
今月3日に、マイナンバーで使用する本人確認書類のうち、
国税庁が定める書類について、パブリックコメントを募集しています。
個人番号の不正利用を防ぐために、
①:市町村から郵送される個人番号が記載された「通知カード」
②:①と引き換えに、市町村から交付される「個人番号カード」
この2つが、本人確認手段とされています。
②には、個人番号と、4つの個人識別事項(氏名、住所、生年月日、性別)の他、顔写真も載ります。
顔写真も載りますから、本人の確認は、比較的容易ですね。
ただ、①には顔写真は載りません。
本人確認が難しいわけです。
そこで、国税庁は、通知カードを使用する場合は、別に本人確認書類を定めました。
1)写真付住民基本台帳カード
2)税理士証票
3)学生証
・・・etc
ただ、これらにも写真がない場合はどうするか。
その場合は、さらに2以上の書類で本人確認をすることとされました。
その書類として、
1)個人識別事項が記載されている身分証明書
2)国税・地方税の領収証などで個人識別事項等が記載されているもの(発行後6ヵ月以内)
3)印鑑登録証明書、戸籍の附票の写し等の公的書類(発行後6ヵ月以内)
4)源泉徴収票、支払通知書その他個人識別事項のある本人交付用税務書類
を公表しています。
ん~、なんだか大変ですね(^^;
ただ、既に番号制度を取り入れている諸外国では、
いわゆる「成り済まし」による被害などが多いようですから、慎重にすべきでしょうね。
これについて、ご意見があれば、こちらのパブコメへどうぞ~!
Vol.93 負け戦はしない
消費税率引き上げの延期について、
京都大学の諸富教授が語っています。
今日の朝日デジタルの記事から。
△
「増税にあたって、景気のタイミングを計ること自体は理解できなくはありません。
でも、それを計るにも限界がありますね。
当初予定の1年半後に、本当に景気がよくなっているのでしょうか。
税制は、目先の景気だけでなく、日本という国のあり方をどうしていくかで決まってくるものです。
短期的な経済情勢だけで判断していけば、結局、いつまでたっても上げられなくなります」
▽
昨年流行した言葉が思い出されますね。
いつやるか、「いまでしょ!」
結局できなかったのですが。
あまり、政治の話はしたくありませんが、
安倍さんが選択した衆議院解散総選挙は、
ノーリスクを承知の上だったのかもしれませんね。
消費税の延期も、国民の理解は得られやすいうえに、
選挙をしても、野党を見てみれば、負けることはないだろう。
勝つことを前提に、アベノミクス賛成か反対かの踏絵を国民に踏ませることが可能。
さらに、諸富教授は語っています。
△
「まして安倍さんは(景気が悪ければ増税をやめることができる)景気条項を外すと言いつつ、『リーマン・ショックのような世界的な経済緊縮、天変地異では(再延期する)法律を出すことになる』と発言しています。かえって不信を呼びます」
▽
平成29年4月、安倍首相をはじめとする政策主導者のみなさんの思惑通りに、
経済が回復していなかったら、消費税率はどうなるんでしょうかねぇ。
第二のリーマンショックが起こってしまうのでしょうか。
・・・まさかね(^^;
Vol.92 言葉の力~その2
今日は12月4日。
いよいよ、今年も1ヵ月を切ってきました。
来年から発生した相続については、基礎控除が4割減る影響で、
相続税の申告件数が、大幅に増える予想です。
国税庁では、相続税の申告についてのアナウンスをしているのですが。
名古屋国税局でも、同様のページが設けられたようですね。
ただ、何れも、大きさやデザインともに、案外控え目。
さて、税務当局側のこの対応、
どれだけ世間に浸透しているのか・・・
ちなみに、大阪国税局でのアナウンスは、まだのようです。
残り1ヵ月を切っているのですが、各国税局で対応が異なるのですね。
世間では、「相続税大増税」、「申告者数大幅増加」 などと騒がれていますね。
相続税が増税になって、申告者数も増えることに間違いはないのですが。
この言葉に踊らされ、焦ってあれこれすると失敗しかねません。
「急いては事を仕損じる」 冷静な対応が必要ですね。
いや、国税当局側の対応が控え目なのは、
「不安を煽るような言葉に乗らず、冷静に状況把握して下さいね」
といったメッセージも込められていたりして・・・なんて思ったものですから。
・・・違うかな?(^^;
Vol.91 言葉の力
「株式投資で必ず成功する秘訣」
一儲け出来そうな気になる謳い文句ですね。
世の中には、こういった類の言葉が溢れていますが。
「節税」
たった二文字ですが、
この言葉も魔法の呪文ですね。
先日も書きましたが、
節税は、法が定めた範囲内の行為ですから、
法的に、何かしら咎められることは、ないのですが。
ただ、節税という果実を得るために、
元本を失ってしまっては、本末転倒ですね。
来年から、相続税が増税になるというニュースが世間を賑わせるのに合わせて、
さまざまな、相続税の節税ビジネスが展開されています。
確かに、相続税は増税になりますが、全員にかかるわけではありません。
それなりの財産を持っていないと、かかりません。
しかも、自分が貯めた財産ではなく、
相続した財産が対象。
さらに、相続した財産以上に課税されることもありません。
本当に相続税の節税が必要かどうか、
よく検討するべきでしょうね。
所有している財産のほとんどが不動産や自社株式。
自らが経営する会社への、回収見込みのない多額の貸付金など。
本当に相続税の節税を検討しておいたほうが良いケースもあるでしょうけれど・・・。
節税は、基本的に所有する財産を減らす話ですから、
本当に実行して良いのかどうか、しっかり検討すべきでしょうね。
極端には、節税をして、その後の生活が苦しくなる・・・なんてことになると悲しすぎます。
100万円の相続税の節税の代わりに、
1,000万円の財産を失うことは避けたいですね(^^;
Vol.90 ポロリと出た本音?
毎年12月に入ると、税制改正の発表が気になってきます。
ただ、今年は選挙のため、来年1月上旬になりそうですね。
自民・公明両党は、消費税率の10%引き上げを、
平成29年4月に延期するとしていますが…。
この話、色んな影響を及ぼしそうです。
昨日のタビスランドの記事です。
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消費税率10%引上げ時に廃止するとされていた自動車取得税は、平成29年3月末まで存続する見通し。
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また、
△
自動車取得税を廃止する代わりに、燃費性能に応じて取得額の最大3%を課税する「燃費課税」も、27年度改正で具体的な結論を得るとされていたが、消費増税の延期に伴い燃費課税の導入も先送りとなる公算が強い。
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さらには、
△
法人実効税率については、数年間で約35%から20%台に引き下げるため、平成27年度と28年度に2%台後半引き下げる方針だが、初年度の引下げ幅は増税先送りの影響を避けられない可能性がある。
▽
などなど。
と、ここまで読んで、「・・・ん?」。
そもそも、法人税率の引き下げは、消費税率の引上げと関係ないはずでは?
ここだけ読むと、「消費税率を引き上げて得た財源で、法人税率を引き下げる予定だった。」
こんなふうに読めてしまうのは、私だけでしょうかねぇ・・・(^^;
消費税率の引き上げ分は、全額社会保障財源では?
もし、消費税率引き上げが、法人税率引き下げの前提にあるとすれば、
たぶん、国民からは、もの凄い反感を買っていたでしょう。
この発言に、もっと深遠な理由があるなら、
是非、そこを教えて欲しいものです。
・・・仮に、これが、自民・公明両党の考えを記事にしたものだとすると、
両党の公約には、目を光らせておく必要がありそうですね。