Vol.11 税法の精密さ
法律って、一語一語凄く気を使って規定されているんですね。でも、日常生活では、そんなこと気にする人はほとんどいないと思います。
代表的な言葉づかいとして、
「又は(または)」と「若しくは(もしくは)」
「及び(および)」と「並びに(ならびに)」
「その他」と「その他の」
があります。これ、それぞれ慎重に使わないと、とんでもなく意味が異なってしまうことになるんです。
「A又はB」、これは「AかBのうち、どちらか」ということです。
「A若しくはB又はC」、これは「AかBのどちらかのうち一つと、Cのどちらか」ということ・・・もう少し噛み砕くと、「若しくは」でAかBのいずれかを選択し、その選んだものとCの何れかってことになります。
「A及びB」は「AとBの両方」ということで、「A及びB並びにC及びD」、これは、「AとBの両方」これと「CとDの両方」の両方って意味になります。
「Aその他B」は、「AやB」という意味で、AとBは並列的な位置づけになり、「Aその他のB」は「AはBのうちの一つの例示」になります。ここが一番に分かりにくいかもしれませんね。
たとえば、「バナナその他リンゴ」と書くと、「バナナやリンゴ」という意味になり、「バナナ」と「リンゴ」は並列的な位置づけで、「バナナ」と「リンゴ」は別個のものとして整理されます。
でも「バナナその他のリンゴ」と書いてしまうと「バナナ」は「リンゴ」のうちの一つの例示になり、「バナナ」は「リンゴ」の一種、なんて意味になってしまい、わけがわからなくなってしまいます。
後者で書くなら「バナナその他の果物」と書く必要があるわけです。
税法をみていると、他にも凄く精密に言葉を選んで法律が組み立てられていることに気づきます。
その代表例が「会社」と「法人」という言葉の使い分けです。
「会社」と書くと、「株式会社」、「有限会社(=正確には特例有限会社)」、「合同会社」、「合名会社」など「会社」という言葉が付く組織に限られます。
「法人」と書くと、「会社」以外にも「宗教法人」、「学校法人」、「医療法人」、「一般社団法人」なんかも含むことになります。
で、税法を作っていく際には、ここは対象を「会社」としよう、ここは対象を「法人」としないといけないな。なんて感じで、ものすごくシビアに使い分けられているんだと思います。
「会社」と規定すべきところを「法人」と規定してしまうと、えらいことになってしまいます。なぜか・・・。それは、たとえば「株式会社」と「医療法人」ではその性格が全く異なるからなんです。と、含みを持たせたまま、今日のブログはこのあたりで。気になる方は次回(=明日)をお楽しみに!!