Vol.13 特定調停スキーム
2009年12月に施行された金融円滑化法、当時の金融相だった亀井静香さんが提唱したことで出来た法律ですが、2013年3月いっぱいで終了して1年半が経とうとしています。
リーマンショックの窮地を脱するために、「何とか借入金の返済を猶予してもらえないでしょうか・・・」といった申し出を企業から受けた金融機関は、その期待に応えるような対応をして、頑張っていこうとする企業を潰さないでね。とするのが金融円滑化法でした。
その金融円滑化法が終了・・・ということは、倒産予備軍とされていた企業が、本当に倒産していくことは予想できますよね。
金融庁は、金融円滑化法終了後も、それまでと変わらない対応を金融機関に求めていたようですが、平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」で凄いことが書かれました。
”新事業を創出し、開・廃業率10%台を目指す”としたのです・・・開・「廃」業率ですから、倒産する企業は倒産してくださいという解釈ができるわけです。
確かに借入金が足枷になっているものの、利益を生み出せる事業は持っている。そんな企業の再生を後押しするために整備されたのが、「特定調停スキーム」です。
たとえば、利益を生み出せる事業に回帰したうえで、1億円の借入金を1,000万円程度にマケテもらえれば、企業も再生を果たせるうえ、1,000万円の借入金も返せる。もしこのまま倒産すれば、返せる借入金は100万円程度です・・・。だから、金融機関の皆様には9,000万円について、涙を呑んで、何とか債権放棄してもらえませんか。というお願いを聞いてもらおうとするスキームなわけです。
ただ、これまでは簡単に実行できるスキームではなかったんです。なぜか。それは、一つの大きな理由として、法人税等の負担が重くのしかかる恐れがあったためです。
借入金を免除してもらう企業側では、債務を弁済しなくてよくなった分について利益を得たと考えられますね。そこに法人税が課税される可能性があったわけです。
一方、債権を放棄した金融機関側では、債権を回収できなくなった金額が損失となるわけですが、これが「お金を貸して返してもらわないのは、寄付をしたのと同じでしょ」として、税金の計算をするうえで、一部損失として扱ってもらえなえなくなる可能性があったんです。損失として取り扱ってもらえなければ、利益が増えます。利益が増えれば税金が高くなる・・・。
つまり、債権放棄をする側、受ける側、両社にとって税負担のリスクがある話だったわけですね。
そこに、日本弁護士会連合会と日本税理士会連合会が連名でテコ入れをしました。国税庁に、「まっとうに頑張って再生を果たそうとしている企業に重い課税がされては、元の木阿弥になってしまう。きちんとしたやり方でしている場合には、税金の負担について考えてもらえないですか」との意見を出しました。
これについて、国税庁が平成26年6月25日にOKを出したわけです。
さて、問題はこれが有効に機能するかどうか。機能するには、まずスキームを知ってもらうことが第一歩。
もし、このブログが、これから自社をどうするべきか悩んでおられる経営者の皆さんのお目に留まればと思いメモしました。
もっと詳細を知りたいかたは次のURLをご覧くださいね。(ちょっと難しいかもしれませんが・・・)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/140630/index.htm