Vol.131 過渡期
先日、ご家族にご不幸があったかたとお話をしていたときのこと。
この度の相続税法の改正を気にされていました。
「基礎控除が随分下がったんですね・・・。」
と無念そうに話されていました。
そう、相続税の負担が増えることを懸念されていたわけです。
ところが、よくお話を聞いてみると、相続発生日は、昨年の年末。
改正後の相続税法は、今年1月1日以後に発生した相続が対象です。
ご相談者様のご家族の相続発生日は昨年末なので、改正前の法律によります。
そのかたは、相続税の申告をする時点の法律が適用されると思われていたようでした。
これから発生する相続は、すべて改正後の法律によります。
このご相談者様のように、ご心配されてるかたも多いかもしれませんね。
改正後の基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。
改正前は5,000万円+1,000万円×法定相続人の数ですから、
ある程度財産をお持ちのかたには、負担感は高く映りそうです。
そこで、例えば、相続人が配偶者と子1人の家庭で、
財産を法定相続分で分けた場合について、
改正前後の相続税の負担を比較すると。
①財産が5,000万円の相続税の負担は、
(改正前)ゼロ → (改正後)40万円 ・・・40万円増
②財産が1億円の相続税の負担は、
(改正前)175万円 → (改正後)385万円 ・・・210万円増
③財産が3億円の相続税の負担は、
(改正前)2,900万円 → (改正後)3,460万円 ・・・560万円増
金額で見れば、「結構負担が増えたなぁ」という印象があるかも。
ただ、増加金額の相続財産に占める割合はというと・・・
①のケースでは「0.8%増」
②のケースでは「2.1%増」
③のケースでは「1.9%増」
・・・そんなに増えていないのが分かります。
「相続税増税」という言葉などが独り歩きして、
世間では、あたかも大事件のような風潮が漂っていますが、
きちんと理解すれば、焦らずに対応できるのではないでしょうか。
この度ご不幸があった、ご相談者様には、謹んでお悔やみ申し上げますm(_ _)m