Vol.29 50歳
今年で、新幹線が開業して50周年なんですね。他にも、東京オリンピック・パラリンピック開催50周年。東京モノレール開業50周年。ホテルニューオータニ開業50周年。テレビ東京開局50周年などなど・・・。なんだか、特別な年って感じがしませんか?!
便乗するわけではないのですが、近畿税理士会も誕生して50周年なんですね。
本日は、その記念式典や、記念講演、記念祝賀会が催されました。
記念講演では、東京大学大学院法学政治学研究科教授で、政府税制調査会会長でもおられる、中里実先生をお招きし、「未来における申告納税制度と税理士の役割」と題して、ご講演いただきました。
一見すると、なんだか難しそうに思えるかもしれませんね。でも、ご講演は、笑いあり、新たな気づきありで、終始和やかな雰囲気で、大変有意義な時間でした♪
タイトルにある「申告納税制度」は、「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。」とした憲法30条について、納税者が負う納税の義務について、自らが計算して申告し、納税するという制度です。
昔、中里先生が、とある国を訪れた際に、日本では申告納税制度を基本としている旨説明すると、「そんなこと、できるわけないじゃないか。自分が納める税金を自分で計算したら、みんなゼロっていうにきまってる」と言われたんだそうです。
さらに、その自らが納める税金の計算などを、税理士という専門家にお金を払って委嘱している個人や企業も沢山あると説明されると、「なんで税金納めるうえに、さらにお金を払って頼んでまでして税金を納めようとするのか?そんなことできるわけない」とも言われたんだとか。
笑い話のようですが、世界には、そのような考えの国がある(あった?)ということ。
税務行政が確立されて、税理士制度が浸透している日本では、考えられない発言ですよね?
もし、日本でも、この発言と同じ考えを持つ人々しかいなかったら、きっと、冒頭に書いた、様々な50周年なんて、迎えることはなかったでしょうね。
中里先生のお話は続き、日本人の、まじめでルールを遵守する国民性は素晴らしいと語られていました(ウンウン、確かに!)。
日本では、禁止されたこと、認められたことを、遵守しますが、アメリカでは禁止されたこと以外は、認められていると考える向きがあるようです。また、ドイツでは、認められたこと以外は禁止されていると考えるようです。また、旧ソ連では、認められたことも禁止されていると考えられ、イタリアでは、禁止されていることほど、認められていると考えるんだそうです(笑)
ま、仮に脚色が入っていたとはしても、各国々の国民性が表された言い回しのように感じました。
ご講演は、納税環境に関するあれやこれやも含め、幅広い視点からのお話で、あっという間に2時間が経過。
納税者の信頼に応えつつ、国家財政の根幹も同時に支える。つまり、憲法30条に示された、国民の納税の義務の適正な実現も同時に図っていくのが、税理士の仕事。・・・ん~、改めて責任の重さを感じましたねぇ。
中里先生の貴重なお話より。