Vol.31 0%、3%、5%、8%、・・・
そう、消費税の税率ですね。今は8%が標準。
来年の10月から10%に上がるのか否か、上った場合に軽減税率が導入されるのか否か。
仮に、10%に上ったとしても、それに合わせて軽減税率を導入するのは、時間的に無理と言われていますが・・・。で、そもそも軽減税率導入が良いのかどうかです。
個人単位で見ると、食料品などについて消費税率が低くなれば家計が助かるし、軽減税率大賛成~!なんて考えませんか?
でも、それは一面でしかなく、裏にはテンコ盛りのデメリットがあると思います。
経団連、日本商工会議所、全国商工会連合会など、様々な団体が軽減税率導入について猛反対しています。
日本税理士会連合会(日税連)も反対意見なのですが、今月届いた専門誌『税研』で、経団連の阿部さんが説明されています。
様々な理由がある中で、社会保障制度の持続可能性に絞っての主張です。
そもそも、消費税率の引き上げは、社会保障費の財源を確保するのが目的。
経団連の推計では、消費税率を一律10%に引上げても、2025年度にかけて、社会保険料の負担額は、勤労者世帯一世帯の負担が年間25万円の増加、企業負担は総額12兆円の増加になるとのこと。
仮に、飲食料品について消費税率を5%にすれば、3.3兆円の税収減になり、社会保障の充実どころか維持すらも困難になると指摘されています。
この場合に、足りない分を社会保険料で補うなら、先に書いた社会保険料の負担額は、さらに重くなり、消費税の中でカバーするなら、軽減税率以外のところを12%程度にする必要があるということだそうで。
他にも、問題点はたくさんあります。
軽減税率とするか否かを、どこで線引きするのか。軽減税率の対象外となったものについて、軽減税率に加えるような働きかけが起こりうる。税制は経済活動に対して中立でなくてはならないという大原則が保たれるのか。税率の区分について、社会全体に新たな事務負担の増加を強いることになる。税率の適用を巡り税務当局とのトラブルが新たに発生することも考えられるが、税務行政はこれに耐えうるだけの体制を整えられるのか。・・・など。
実際に軽減税率を導入しているヨーロッパ諸国では、後悔している旨のコメントが多く出されています。
最後は政治決着になるのでしょうが、さて、日本はどちらに舵を切るのでしょうね。