Vol.41 老後は一人で海外へ?
相続税の対象になる財産は様々ですが、圧倒的に土地・建物等のウェイトが大きいのが実情です。
国税庁の発表では、デフレの昨今でも、相続財産の半分以上を占めているという調査結果が出ています。
でも、被相続人が住んでいた自宅に、引き続き住もうと考えている相続人がおられるケースが沢山あります。
棲家として考えているわけですから、実質的には換金は出来ない。でも、相続税は課される。そこで、一定の要件を満たした場合には、自宅の敷地について最大240㎡まで、土地の相続税評価額の80%を相続税の対象から減額できる 制度が設けられています。そう、以前にも買いた「小規模宅地等の特例」 ですね。
自宅の敷地以外にも、被相続人が営んでいた事業の敷地なら最大400㎡、収益物件の敷地なら最大200㎡が対象になります。
たとえば、240㎡の敷地の相続税評価額が1億円だったとすると、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられれば、相続税の課税対象になるのは、たった2千万円で済むってことです。
自宅の敷地については、来年発生した相続から、対象になる地積が330㎡までに拡充されるわけですが、これ、「日本の自宅に限定していない」 のですね。専門誌「税研(2014年9月号)」に書かれていた記事を読んでいて「おっ、」と思ったのもので。
たとえば、母は父の死亡後、南フランスに移住して、悠々自適な老後の生活を送っていた。そんな母に相続が発生。相続人は、日本に住んでいる子供達だけで、母の相続財産には南フランスの自宅がある。こんなケースです。
私の立場としては、いまだかつて遭遇したことはありませんが、今後遭遇しないとも限りません。
先日ご依頼をいただいた相続人のかたには、ルーマニア在住のかたがいらっしゃいましたので・・・(◎_◎)
こんなケースでも、一定の要件を満たせば、南フランスの自宅の敷地について、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられるってことです。
確かに、条文には、一言も日本国内にあるものに限るとの文言は見当たりません。
いや~、知らないって怖いことですね (^^;
ちなみに、日本の土地の相続税評価額は、路線価等によって算出します。では、海外の土地はどうなるか。
たとえば、アメリカには路線価というものは存在しないようです。そんな場合は、「売買実例価額」や「精通者意見価額等」を参考に評価することとされています。
・・・もし、そんな相談に遭遇した時には、東奔西走することになるのかなぁ・・・(><)
<教訓>やっぱり、人は一人では生きていけないですね(苦笑