Vol.54 驚異の打率
先日、国税庁のHPで、「平成25事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」と題して公表された成績です。
所得税と消費税について、平成25事務年度(H25.7~H26.6)に調査をした結果は、個人所得税が、89万9千件の調査件数に対して、約66%の59万件で申告漏れ等が発見され、所得金額で8,216億円の申告漏れ、追徴税額は1,020億円に上ったとのことです。
消費税は、7万6千件の調査件数に対して、約68%の5万2千件で申告漏れ等が発見され、追徴税額は209億円に上ったとのことです。
イチロー選手をはるかに凌駕する、3打数2安打ですね。
ん~、税務署の職員さんが優秀なのか、きちんと申告しない(できない?)ほうが悪いのか・・・。3対2で前者というところかな?!
これが相続税の調査ではどうなるか。平成25事務年度分は、まだ出ていないので、平成24事務年度分で見てみると・・・。
12,210件の調査件数に対して、9,959件で申告漏れ等が発見されたということ。率にして、驚異の81.6%!!!凄いですね(◎_◎)
自営業の方にしてみれば、所得税は、毎年申告してると思います。最初は不慣れで申告漏れや間違いがあっても、次第に慣れてきて、漏れや間違いも減ってくるかもしれません。
ところが、いかに自営業の人でも、税理士などを除いては、相続税の申告を毎年経験できるものではありませんよね。・・・あったら恐ろしいです(^^;
所得税の確定申告などと同様に、将来の相続税の申告に向けて、資料を整理し、すべての財産や債務が常に分かる状態にしておき、判断に迷うようなところは解決するように努めている。なんてかたは、殆どいないと思いますし。
そう考えれば、相続税の調査についての数字も、納得のものかもしれないですね。
で、相続税の税務調査で注目すべきは、その申告漏れとなった財産の構成です。
過去5年を見てみると、申告漏れ第1位の財産は、いずれも「現金・預貯金等」となっています。平成24年では、申告漏れ財産の総額に対して、37.2%を占めています。
テレビドラマなんかで見るような、どこかに隠しているといった事例も、中にはあるのでしょうけれど、多分、ほとんどは「名義預金」なんだと思います。
子供や孫には内緒にしつつ、被相続人が生前に、子供や孫名義で作っている定期預金などのことです。Vol.30でも書いた内容ですね。
この相続税についての調査結果をみると、子供や孫たちに口裏を合わせておいたとしても、厳しく追及され、最終的には、「相続税の申告から漏れてましたね」という結論に至っている事例も沢山あるのだと思います。
こう書くと、税務署は怖いといった印象を持たれる方もいるかもしれませんが、違いますね。選りすぐりの優秀な人材を集めた日本代表なのだと思います。
怖いと思う方は、やましいことがある人・・・かな(^^;