Vol.38 お金を借りたら
たとえば、銀行でお金を借りたら、利息が付きます。
国が国債を発行して、お金を借りた場合も、利息が付きます。
昨日の公開研究討論会で、東京税理士会が研究テーマの一つに「財政危機と税制のあり方」がありました。
少しですが、その中から。
日本が、2010年のG20で国際公約として掲げ、昨年のG20でも再確認されたものが「2020年までにプライマリーバランスを黒字化する」というものです。
簡単に言えば、「新たな借金、つまり赤字国債の発行などに頼らずに、税金などの収入だけで、年間の政策的な経費の支出を賄う」ということです。
ところが、安倍政権が進めている、いわゆる「三本の矢」と称される経済政策が、思惑通りに行ったとしても、2020年のプライマリーバランスは「▲(マイナス)11.5兆円」という試算。
2013年の▲33.1兆円からは、21.6兆円改善するものの、黒字化には、ほど遠い予測・・・。
改善額の説明としては、税収の増加により収入が33.6兆円増えるものの、社会保障費の負担増加で支出が12兆円増えるため、差引で21.6兆円の改善としているんですね。
国際公約として掲げた「プライマリーバランスの黒字化」を達成に不足する11.5兆円 を税収の増加だけで賄おうとすると、必要になる税収の増加額は、33.6兆円+11.5兆円=45.1兆円
ここには消費税を10%に引上げた増収予測額14.1兆円は入っていないので、これを引くと、45.1兆円-14.1兆円=31兆円・・・。税収として、31兆円を消費税の10%引上げとは別に増やさないと達成できないんですね。
ここで登場するのが、冒頭に書いた「利息」です。
実は、プライマリーバランスの考え方には、「利息」が入っていません 。
確かに、新しい赤字国債などは発行していないので、借金は増加していませんが、減ってもいない。ということは、利息は支払い続けないといけないってこと。
この国債等の利息が年12.1兆円かかっている。これを加味したものが「財政均衡収支」。
財政均衡収支を黒字化しようとすると、先の31兆円+12.1兆円=43.1兆円 になる。
で、これからは、「プライマリーバランス」ではなく「財政均衡収支」を基準に考えていくことになるということ。
先日のニュースでも出ていましたが、ドイツが2015年に、「財政均衡収支」で黒字化するからなんですね。
結論としては、税収だけで43.1兆円を確保することは至難の業。強い経済成長と、支出の削減もセットで、トータルで実行していくことが必須なんでしょうね。
ちなみに、社会保障費は毎年1・5兆円ずつ増加していく予想なので、消費税の税収だけで達成しようとすると、消費税の税率は、2020年で25.4%、2025年で28.1%、2035年で33.4%にする必要があるとの試算でした・・・。
今の日本の現状から言って、実現できる可能性は・・・言わなくてもわかりますよね(^^;