Vol.30 子供貯金
将来、子供たちが就職や結婚など、人生の門出を迎えたときのために、貯めておこう。子供名義の預貯金をするときって、こんな感じで始めることが多いのでしょうか。
祖父母が孫名義で同様のことをするケースもありがちですよね。では、祖父母が孫名義で作成した預貯金は、いったい誰のものでしょうか??
ピンときたかたもおられるかもしれませんが、これ、相続税の申告について、後日税務調査があった際に、揉めるネタになってしまうことが往々にあります。
まだ孫は小さく、自らでの稼ぎは当然ない。祖母は毎月孫名義の預貯金にせっせと入金を繰り返し、貯まっていく残高に、将来の孫の門出を重ね合わせて目を細めている・・・・。そんなある日、不幸にも、祖母に相続が発生・・・。
このようなケースでは、相続税の申告に際して、この孫名義の預金は、いわゆる『名義預金』として、祖母の相続財産として相続税の申告に加える必要があります。名義預金として、相続財産に加えるべきかについては、
・預貯金等の管理や運用の状況、
・原資となった金員の出捐者
・贈与の事実の有無
・その財産の名義人がその名義を有することになった経緯
・・・などなどを、総合的に勘案して判断することになります。
もってまわった言い方ですが、要は、その預貯金が本当は誰のものかは、それぞれの事実次第ってことです。
先に書いた例は、名義預金だと分かり易いのですが、夫婦で貯めた妻名義の預貯金などなら、判断に迷うこともあるのが実際のところでしょうね。
実際に、税務署側が「それは名義預金だから、相続財産に含めてないといけない。だから、名義預金を除外した当初の申告は過少だ~」と主張して争っても、必ずしも名義預金とされるとも限りません。
名義預金であることについて、税務署側の立証が不十分だとして、納税者の主張が認められた事例だってあります(平成25年12月10日裁決http://www.kfs.go.jp/service/JP/93/11/index.html)。
同じ相続は二つとしてありません。それぞれに別の顔を持っています。つまり、過去にこんな事例があったというのは参考になるにはせよ、そのまま同じように当てはめて判断するのは危険です。
人には歴史がありますから、そこをよ~く知る必要があるわけですね。