Vol.34 給与が増えた!?
国税庁が「平成25年分」の「民間給与実態統計調査」を、先月公表しました。
給与所得者数は前年より113万人増の5,535万人(前年比2.1%増)で、調査を始めて以来 過去最多!! また、給与総額は前年から9兆2,600億円増の200兆3,597億円(同4.8%増)だったとのこと!
民間事業所に1年を通じて勤務したかたの平均給与は414万円ということで、こちらも前年比で1.4%増えたようです。
ただ、正規・非正規の内訳では、正規が473万円と前年比で1.2%増加した半面、非正規は168万円と前年比で0.1%減り、正規・非正規の差が開く結果になったとのことです。
(週間税務通信No.3329より)
この賃金増加の結果については、平成25年度の税制改正で導入された「所得拡大促進税制」の効果かなと思ったのですが、影響は少なかったのかもしれません・・・
この「所得拡大税制」は、個人所得の拡大を図るために企業向けに設けられた制度なんです。
企業の支給する賃金が、基準になる年度と比べて増えた場合には、一定の要件を満たせば、その増加額の10%を法人税等から控除できる制度です(控除できる上限としては、法人税額の10%までなどとされていますが)。
たとえば、A社が基準の年度に支給した賃金の総額が1億円で、今期は1億5千万円支給したとしたら、増えた5千万円の10%、500万円を税金から控除できる可能性があるってことです。ん~、大きいですよね。
さらにこの制度、利用促進を図るために、平成26年度の改正では、より使い勝手が良くなっています。
新たに社員を採用したら、おのずと賃金の総額は増えるでしょうから、業務拡大と賃金のベースアップを進めていこうとする会社などには、使い勝手は良いかもしれませんよ!
ですが、先に書いたように、「統計調査で出された給与総額の増加要因は、所得拡大税制にある!!」・・・とは言いにくいのかもしれません。
経済産業省が実施した「雇用状況に関する調査」によると、所得拡大促進税制の認知度は、従業員数が20人以下の企業では27.7%しかなかったんだそうです(苦笑) さらに、制度を利用した企業は、なんとたったの6.3%・・・。制度導入を進めてきた経済産業省としては、この結果をどう感じているのでしょうかね・・・。
平成26年度改正で使い勝手は良くなったのですが、さて、どれだけ利用が進むのか・・・。
制度の存在自体ご存知のない経営者の皆様には、これを機会に一度検討してみられても良いと思いますよー(^^)/
ちなみに、賃金を引き上げた理由の75.7%は、「従業員の定着・確保」だったようです。ごもっとも!