Vol.33 昨日の続き
昨日、配偶者控除のことに少し触れましたね。
改正を視野に入れて検討されそうなのですが、「女性の社会での活躍を税制面で阻害しないように」という他にも、以前から指摘されている問題点があります。
たとえば、妻がパートで稼いだ給与収入が103万円だとします。
所得税法では、給与について、「給与所得控除」という控除項目が設けられていて、最低65万円を引いてくれます。給与収入が103万円ですから、そこから給与所得控除65万円を引くと、妻の所得は「38万円」となります。
さらに所得税法では、誰にでも「基礎控除」が38万円認められていますから、妻自身の所得税が課税される「所得」は、「給与所得38万円-基礎控除38万円=ゼロ」になり、所得税はかかりません。
ちょっと余談ですが、俗に「103万円の壁」といわれるのは、「給与所得控除65万円」と、「基礎控除38万円」の合計額のことなんです。
話は戻り、妻の所得は38万円です。妻の所得が38万円以下であれば、夫の所得税の計算をするうえで、配偶者控除を受けられます。
現行の所得税法上、配偶者控除は、先の基礎控除と同額の38万円とされています。つまり、夫の所得税の計算では、夫自身の基礎控除38万円に加えて、配偶者控除38万円も引けるわけです。
・・・やたら38万円が出てきますよね!?
お気づきのかたもいるかもしれませんが、夫婦二人しかいないのに、基礎控除が、妻で1回、夫で2回引けていることになり、「控除の二重取り」とも考えらるわけです。
ここもどうにかしようとする論点の一つとしてあるわけなんですね。
今月届いた専門誌「税理」では、この点について慶応の佐藤教授が語っておられます。奥が深い論点なので、私も、しっかり読ませていただこうと思っています!